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飛翔する燕  作者: 髙津 央
第一章 最初の任務
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05.霊性の翼団

 今を遡ること二千四百年程前……

 印歴(いんれき)紀元前二百年頃、【霊性の翼団】が発足した。


 国の枠に囚われず、魔術の記録、研究、開発、魔道士の育成を担う魔道士の国際互助組織だ。


 魔術の継承はそれまで、職能組合による徒弟制や家伝だった。


 魔術の系統を「学派」に分けたことで、より深く専門的な研究を可能にした。

 門戸は広く開かれ、他学派の術も、禁呪以外は誰でも学ぶことができる。


 ナイヴィスが学んだ【飛翔する(ツバメ)】は、天候予測と天候制御の魔法を研究する気象学者の学派。雨の日に生まれた者にしか扱えない術が多い。

 挿絵(By みてみん)

 この魔剣、ポリリーザ・リンデニーが修得した【舞い降りる白鳥】学派は、術の解析や呪い解除の専門家。

 挿絵(By みてみん)


 どちらも、魔物と戦うには不向きだ。


 ナイヴィスは、剣になる前のポリリーザ・リンデニーを「偉大な女傑だった」と聞いている。

 長命人種(ちょうめいじんしゅ)で、ムルティフローラ王国軍の正騎士を四百年余り勤め、殉職した。


 一体、どうやって、仕事をしていたのか。

 明快な答えが、ナイヴィスの頭に響いた。


 〈私が強いんだから、いいじゃない〉


 「……でも、リーザ様を振るうのは、私の手ですよね?」

 ナイヴィスは(つか)に手をやり、声に出して呟いた。


 ベッドで転がっていたワレンティナが、動きを止めて身を起こす。

 「お兄ちゃん、リーザ様、何て?」

 「リーザ様が強いから、明日のことは心配せずに、リーザ様と隊長の指示に従ってればいいって……」

 「それでいいんじゃない?」

 何か問題でもあるの? と声には出さず、小さく首を傾げる。乱れた金髪が、はらりと頬にかかった。


 「リーザ様を持つ手は、私の手なんだよ?」

 「落とさなきゃ大丈夫よ」

 ワレンティナは、ナイヴィスの隣に座り直した。

 「今日のあれを見て、どうして大丈夫だって……」

 ナイヴィスは頭を抱えた。


 「リーザ様は魔剣……それも、退魔の魂なんでしょ? イザとなったら、お兄ちゃんが身体預けちゃえばいいんじゃない?」

 「他人事(ひとごと)だと思って軽々しく……」

 〈まぁ、それは最後の手段にとっときましょ〉

 ナイヴィスの(うち)に響く声は、笑いを含んでいた。

 【舞い降りる白鳥】学派と【飛翔する燕】学派の徽章。

 詳細は、「野茨の環シリーズ 設定資料」の用語解説07.学派でご確認ください。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
【関連が強い話】
野茨の血族」 その後の護衛任務の話。
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