表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飛翔する燕  作者: 髙津 央
第二章 退魔の任務

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/91

42.今後の予定

 ナイヴィスは、茂みや岩陰で雑妖を祓うことには、幾分か慣れてきた。


 牧草地脇の木陰で、携行食を摂りながら、隊長が今後の予定を説明する。

 「今朝も言ったが、王女殿下は夕刻には結界を完成させ、村で休まれる。十五日間はここに滞在なさり、結界を補強される」

 隊長はそこで言葉を切って隊員を見回した。


 小枝で地面に近辺の簡略図を描き、続ける。

 「我々も同じ期間、ここに留まり、結界内に元々居たモノを倒す。結界の補強が終われば、中の雑妖は一掃される。実際やってみてどうだ? 質問はないか?」


 ナイヴィスは少し考え、小さく挙手した。

 「お、ナイヴィスか。何だ? 言ってみろ」


 「あの、たった十五日で、こんな広い範囲を全部、できるんでしょうか?」

 「そんなもん、無理だ」

 「えっ?」

 あっさり断言され、隊員の声がひとつになった。


 隊長は、若い騎士達に微笑んで言った。

 「作業は四日続けて五日目は休む。最終日は撤収。実働は十二日間だ。そもそも、全て排除するのは不可能だ。こうしている間にも、新たな雑妖が発生している。だが、少しでも減らせば、それだけ村人は安全になる」


 〈完璧にできないなら、何もしないんじゃなくて、少しでも、出来る限りのことをすれば、その分、確実に状態は良くなるのよ〉


 ナイヴィスは、隊長と魔剣の説明に頷いた。

 ……ホントに、普通の掃除と同じなんだ。毎日、ゴミも埃も出るし、完璧にキレイになんて、できっこない。だからって、掃除しなかったら……


 暗い想像に身震いした。


 一番よくないのは、完璧を目指したが(ゆえ)に何もできなくなることだ。


 穢れや問題を放置すれば、後々大きくなり、本当に手に負えなくなってしまう。

 面倒でも、(わざわい)の芽が小さい内に摘み取る方が、結果的に少ない労力で済み、楽なのだ。


 「できる者が、できる時に、できるだけのことをする。何でもそうだ」

 「できる癖に他人(ひと)に押し付けるような奴は、イザと言う時、真っ先に見捨てられるんだ」


 隊長の言葉を受け、トルストローグが遠くを見て言った。

 星座の雪羊(トルストローグ)を称する騎士の視線の先で、本物の羊が、のんびり草を()んでいる。


 騎士になる前の仕事で何があったのか、詳しく聞きたいような、でも、聞いてはいけないような、怖い気がして、ナイヴィスは黙っていた。


 魔剣ポリリーザ・リンデニーが、ナイヴィスの脳裡(のうり)でわざとらしく溜息を()いてみせた。


 「じゃあ、早く次の場所へ行って、雑妖とか倒しましょうよ」

 ワレンティナが勢いよく立ち上がる。隊長は苦笑し、手振りで座るように促して言った。

 「()いては事を仕損(しそん)じるとも言う。休むべき時には休み、動くときには動く。そういうことも大事だ」


 最年少の新米騎士は、恥ずかしそうに笑って頭を掻いた。


 ナイヴィス越しに見ていた魔剣が、つられて笑う。

 〈あなたと従妹ちゃんを足して二で割れればいいんだけどねぇ〉


 ……無茶言わないで下さいよ。

 ナイヴィスは眉間に皺を寄せ、地面を見詰めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
【関連が強い話】
野茨の血族」 その後の護衛任務の話。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ