16 ボス
攻略組は朝日が出ると同時に南ダンジョンへと向かった。
攻略するにあたって今回は前衛盾役と中衛に魔法使い、ヒーラー、後衛に援護の出来るものと全体を見渡して指揮するライダーさんといった構成になっている。
何事もなければ良いのだけど、私も北に向けていかなければいけないし気持ちを切り替えよう
北に関しては坂道のような山になっているのを登り、途中にある坑道が主なフィールドになっている
ライダーさんからの情報だけど、坑道には地味に厄介なモンスターが多いらしく、コウモリがいれば動きが早く、泥みたいなモンスターがいれば急所を突かないと物理はスライム程ではないがダメージが入りにくいらしい
私としては虫じゃなければなんでもいいと思ってたけど、もしかしたら次は泥だらけになるかもと思うと少し鬱だ。
とりあえず早々と向かって、さっさと倒してしまおう、ライダーさんの話では絶対にボスが動くとは限らないけど、どうせなら倒しておきたい
途中の山道では特に問題なく進み、これが坑道かな?と思う穴があった
それ以外に特に見かけないので、中に入って進むと上から泥の塊が落ちてきた…
これが泥のモンスター?と思いつつ剣を持って振るってみると爆発四散したから多分ダメージ判定があったんだと思う
それから先に進むと入り口のあかりか無くなって暗くなっている
そういえば松明とか明かりの魔法が必要だったなって気付いた
とりあえず近くに誰かいるわけではないし魔眼を発動させて先に進み、道中のコウモリと泥を倒していく
別段普通に倒せてしまっているからイマイチわかりずらいけど、魔眼のおかげで動体視力があがってるのかコウモリは捉えやすいし、泥に至っては魔王のステータスでゴリ押し出来る
どちらかといえば、ここの坑道が若干迷路のような複雑さがあるから、地形の方が私にとっては難敵…別に私が方向音痴ってだけかもしれないけど
まぁでも、ライダーさん曰くボスのいそうな所は分かれ道があってもひたすら真っ直ぐ進んでいけばいいとのことだし、早々迷わないと思う…多分…
しかし探索組の言う通り、やたらモンスターに会ってる気がする
上から泥が降ってくるか、地面の泥が動き出すか、コウモリがはばたいて迫ってくるか
コウモリも泥も弾けるから困るけど、虫よりは遥かにマシでそこまで苦ではない、そんなことを思って進んでるといかにもボスがここにいますと言うような大広間に辿り着く
案外簡単だなって思えるのは多分モンスターに苦戦してないからなんだろうけど、それでなくても予想してたより全然早かった気がする
中央にて巨大…なゴーレム?かな…岩の塊が佇んでいる
『来たか…』
重低音な声を出し動き出すゴーレムはさすがの迫力がある…私が魔王でなくて普通の人なら1人で絶対来たくないって思うんだろうな
『試しに聞いてみるんだけど…俺の声聞こえないよな?』
じ、重低音な声は迫力がある…んだけど物凄く情けない弱々しさを感じる…
「えと…聞こえてます…?」
『え…!?聞こえてるんですか!?』
「は、はい…」
途端にゴーレムは嬉しいのか両腕でガッツポーズをしてやったーと言い出した…
『よかったー…俺このまま殺されるのかと思ってたんですよ!』
反応がやけに人間らしい…というか明らかに通常モンスターと違う
こんな流暢に喋ってくるフレンドリーなボスが仕様だなんて思えないし…となると…
「えっと…もしかして、プレイヤーなんですか?」
『そうです!そうなんですよ!いやー話のわかる人で良かったー!』
ここは私も魔王なんですー!とか暴露するべきなのだろうか?
『俺気付いたらここのボスに選ばれててですね…てあれ?』
急にテンションが低くなりゆっくりとこちらへ近づいて、目の前で跪き私を覗き込むように見てきた
襲われるんじゃないかと若干冷や冷やしてるけど、さすがにさっきの今で急に襲ってこないと信じたい…襲われても生き残れると思うから出来てるけど、凄く怖い
『……もしかして魔王様?』
「え?」
『あ、いや間違ってたらごめんなさい!』
確証がないから謝ってきたんだろうけど、どうして私が魔王だと分かったんだろうか…ボスになったプレイヤーはある程度察知出来るとか?
「なぜそう思ったのか聞いてもいいですか?」
『え?だ、だって俺の言葉通じるし…それに目が魔物みたいな目してるから…あ、ごめんなさい!悪口じゃないんです!』
それからもひたすらに謝ってくるけど、とりあえず無視して
たしかに魔眼というくらいだから変化はするのだけど…そんなにやばいほど変わってるのだろうか?
そして…たしかにボスと会話できるなんて、私がジャンルでいったらモンスターだからなんだろうけど蜘蛛とは話せなかった…というか話しかけてこなかったのか、そもそもプレイヤーでなかったからなのか
『あのー…怒ってますか?怒ってますよね、急に目が魔物とか悪口にしか聞こえないですよね…』
「いえ、大丈夫ですから落ち着いて下さい!」
ひっ!ごめんなさい、と結局謝ってるけど
この人は私がプレイヤーだったらここの坑道1人で突破してきたことになるけど違和感を覚えないのだろうか?いや、そのことすら忘れるくらい言葉が通じてるのが嬉しいのかな
しかし、どうしたものか…私がこの人?ゴーレムと一緒に町まで行ったらかなり怪しい、さらに私しかゴーレムと話せないなんて事になったら私が魔王やモンスターと思れてもおかしくはないだろうし…
「ちなみに聞くんですが、ほかのボスもプレイヤーかどうか分かりますか?」
『えと…一応分かります?絶対とは言えないんですけど俺が最初気付いて運営からメッセージ届いてたんですけど、そこにみんなで魔王様と世界征服なんてのがあったからほかのボスもプレイヤーなのかな?程度です…』
やっぱりあの巨大蜘蛛もプレイヤーということになるのか…見た目が見た目だけに人を殺した感覚が特にしない
それに話しかけてこなかったのはなんでなんだろう、今となにか状況が違うのだろう…か…
魔眼?を使ってるか使ってないかの違いだけど…
試しに魔眼を使用せずに、ゴーレムの方を見てみると『うごごごごご』物凄く分からなかった
とりあえず話ができないことには始まらないから魔眼は使っておくとして、この子はどうしよう
『あのですね、俺きっとこのままいくと殺されちゃうんでどうかあなたの力を貸して欲しいというか仲介役に入って欲しいというかですね』
「すみません…無理そうです」
『えええ!?な、なんでですか!?』
「その…ゴーレムさん?が最初に思った通り私が魔王だからですね」
さらにもっと大きいえええ!っと驚いた声が坑道に響き渡る
また悩みの種が一つ増えてしまったけど…このゴーレムが初めての仲間と言えるかもしれない、いや正確には初めての仲間は私が殺しちゃったんだけど、初めての…配下?が出来た…
これからどうしよう…
はい、作者です!
いつもご愛読誠にありがとうございます。
作案がいくつもあった中、何度も全消し書き直してて投稿が最近遅れ続きで大変申し訳ございません!
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ありがとうございます頑張りますとこの場を持って失礼いたしました!頑張ります…!