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15 順調



どうも魔王です。


町の復興作業は順調に進んでいるのか、中央広場で野宿?する人も減り、建物の中で過ごす人も増えつつある今日この頃


今まで引きこもってたプレイヤー達も、戦闘には参加しないけど、生活面でのサポート等を手伝ってくれて、役割分担みたいになってきていたりする


ただ、NPCは消えたままだからそれに関してはアイテムの補給ができないという状況をどうにかしたいとラマーさんが頭を抱えて相談してきた


「どうにかならんかな…?」


私はなんでも取り出せる道具とかはもってないので無理です…と率直に言いたいけど、本当に悩んでる人に向かって言えない…


「アイテムって簡単に作れないんですか?」


「生産職はほとんどいなくなったってのもあるけど、そもそも素材が足りないんだよな」


武器や防具は今あるのがオオカミなどの皮を使ったレザー装備一式でこれ以上は鉱石の類いが欲しいらしい


今までは値段が高くてもNPC市場で仕入れてたそうだ


そして次にポーションなど回復アイテム…これに関してはそもそも調合方法がわからない

しかもプレイヤーの手持ちもほぼない為ヒールなど回復要員がいなければ危険が一気に増していく


「ヒーラーがいてもMP切れ予防にポーションあれば生存率が一気に高くなるんだけどな」


「そういうのは私よりライダーさんの方が詳しいんじゃ…?」


「聞いたけどわかんねって言われたよ…他の奴に聞いても同じで、ただシュリがポーション製作してた奴と知り合い?だったかもしれないって聞いてな」


リーフさんのことかな…そしてそれを知ってたってことはアインさんが話したのかな?それでなくてもポーションの需要高いってリーフさん言ってたから中央で話してたのを見た人がいたかもしれない


「私も生産に関わってなかったから…すいません」


「だよなぁ…いやおれもごめんな!もうちょっと考えてみるよ、シュリもなんか分かったら教えてくれな」


「はい…あ!」


「お!?ど、どうした?」


そう言えば、重要かどうかはわからないけど、たしか西の森の粘液…忘れたい記憶ですっかり封印しがちになったりするけど、あれを売ったのがリーフそんとの出会いだったことを思い出した


「そう言えばリーフさん…私の知り合いだった人が粘液がポーションに必要って言ってた気がします」


「え?あのゴミアイテムを?」


どれだけゴミ認定されているのか…粘液に対して別に愛着持ってるわけじゃないけどさ

今考えれば私とリーフさんの思い出の品と言ってもいい粘液…いや…やっぱり気持ち悪いからゴミでいいや


「はい、大量に仕入れてたか間違いないと思います」


「粘液か…とりあえずそれを元に今の生産組に調べさせてみるわ」


そう言って走って行った…粘液粘液と呟きながら走って行ってたけど、すごくシュールというか怖い




戦闘職の人たちはレベリングや、以前ほどではないにしても探索を続けているらしい

今度はちゃんと準備をして進めようと作戦を立てて行こうとライダーさんが張り切っていた


アインさんは、私が蜘蛛退治でレベル差があると思ってライダーさん達とパーティを組んでレベリングと探索をしているらしい

ライダーさんの話では、DEF全振りの盾はすごい頼りになるとのこと


現状、ポーション不足だからか、尚のこと喜んでいるそうだ。






「東エリアのモンスターが現れない?」


探索組が何度東に出向いてもモンスターが発見できないらしく、何故か忽然と消えたそうだ。


アインさんが話しがあると、私が住んでる家に来てくれたのだけど攻略の話っぽい…普通の話しが懐かしい


「あぁ、多分シュリは俺を町に連れて行くときもモンスターいなかったんだろ?」


そうですね、と返すとやっぱりなと頷き思案顔になっている、

恐らくダンジョンの蜘蛛モンスターのなにかしらの影響なんだろうけど、なんで東がいなくなるんだろうと探索組は調査を進めているらしい


妥当に考えて東のボスが動き始めたと思うけど、いなくなったのはあくまで蜘蛛が町を侵略するときだ


「ま、現状何かできるわけじゃねえけどさ対策打っておかないと以前の二の舞だからな」


「一応わかるのは獣系のボスってことですね」


西のボス、というより西のエリアは虫系モンスターが多く住み着いていてボスは蜘蛛


東はウサギやオオカミ、牛といった獣の類い


南に関しては私は知らないけど、スライムが多いらしい


「シュリはどうするんだ?レベリングするって言って攻略のところに顔見せてないみたいだけど」


「私は…」


現状、人を死なせないようにしないとまた何か悪いことが起きるから町を見張るという意味も含めて休んでいたけど

そろそろ何かしないといけない…ずっと何もしないで起きたい…ちょっと休みすぎたかな?


「東の方調べてみます、私ならボスいてもある程度大丈夫なので」


「おう、駄目だ」


笑顔で即答されてしまった。


「大体シュリはどこか命を軽視してるんだよ、いいか?これはゲームじゃなくなってるんだぞ?」


急に説教が始まってしまった、聞き流しつつ考えてるのだけど

西のボスは町に移動できたってことは東のボスも別エリアに移動した可能性があるかもしれない、もしくは雑魚モンスターそのものが移動し始めたのかもしれない


どちらにしても早めに何かしないと今回みたいに普通のプレイヤーでは攻略不可能になってしまうからみんなには頑張ってもらいたいと思う…


私の方はラマーさんに頼まれてる粘液とか調達しておこうかな?


「シュリ?聞いてるのか?」


「聞いてないです」


説教が長引いてしまった…






さて、そんなこんなで来ました東の草原です。


探索組は四方全部を調査してるから東に集中できないのでその時を狙って夜に行動して、アインさんにばれないようにしておいた


ばれてもいいのだけど、小言がうるさいのは遠慮願いたい



夜の静けさと暗さは異常なほど不気味で、西の森で夜を過ごしたことがあるからか粘液のトラウマが…


夜だと遠くまで見渡せないから昼の方が良いって思うかもしれないけど、今回実は秘策があったりする

いや…私が普段使い忘れているだけなんだけど、スキルを使ってみようと思う


レベルが上がったことでスキルが増えていたのだけど、今回は使わないので置いておくとして

今は《魔眼》を使ってみようと思う。


家の中で休養期間をもらってた時に使ってみたりしたのだけど、色々と凄かった


まず、魔眼には識別能力があって、物の価値や性質を見抜けたり、人に使うと今のレベルとかが見れたりする。

そして、私の視界範囲なら遠くても識別できたりするのだ


これだけではなく、魔眼を使えば私自身に身体強化が掛かり視力が上昇してさらに遠くまで見れたりする

これを使うだけで夜でも遠くまで見通せれるということで夜に草原に来たというわけである。

魔王ってこんなに便利なんだと感心してしまう。



早速使って周りを見つつ進んでいるけど、モンスターは全然見かけない

どこかに隠れているのかな?と隈なく探してるはずなのに見つけれず、そのまま奥へ進んでいる


結局なにも見つけれず、次の朝私の家に誰か来ても困るから走って帰ることになった



次の日も一応探索したけど、やっぱり何も見つからず、こんなところでピクニックでもしたら楽しいんだろうなと思いながら帰る


しばらくそんな日が続いてると、探索組から連絡があった


「おう!シュリちゃんご苦労さん」


相変わらず胡散臭い笑みを撒き散らしているライダーさんからの報告なのだけど、南のダンジョンが見つかったそうだ


「いまのところ、俺らだけで対処できなくはないんだけど、シュリちゃんに相談してえのよ、今攻略に向かうかどうか」


何故私にわざわざ相談する必要が?と思うけど単純に町を奪還した人に許可を貰いに来たとかかな?


「なんで?おもってるかもしれんけど、シュリちゃんが東に出向いてるのは知ってるよ」


なんか知っとることあるかもしれんから、と東に問題なければこのまま攻略したいらしい


「今のメンバーでも倒せるんですか?」


「んー…無理ではないけど、下手したら死人は出るかもしれんてとこかな?とはいっても東や北のボスがなにかしてくるかもしれんから早々に数を減らしたいしな」


やられる前にやると、次町が攻められでもしたら今度こそアウトだからこそ心配の目は摘んでおきたいらしい


「そこでシュリちゃんにはやってもらいたいことが!」


「な、なんでしょう?」


東は今は安全地帯も同然、予想外のことがなければ問題ないだろう、けど北のモンスターが最近多い気がすると探索してた人が思ったらしい


これは南のダンジョン攻略もなにか罠がありそうと考え、私を北のダンジョンがありそうなところに向かってほしいとのこと


「確証はないんだが、北のモンスターのうごきからボスが町に迫ってくるかもしれねえって予想しててな」


「それなら南に私が向かった方がいいんじゃないんですか?」


「今の戦力だとアインのおかげで防御面は本当に助かってる、火力に関してもシュリちゃんがいてくれたら安心だけどよ町が挟み撃ちになった時片方ずつ相手してくれた方がありがてえのよ」


特にシュリちゃんは一人でモンスターの大群を倒せる強さがあるしなと付け加えて微笑んでくる…もちろん胡散臭く


「逆はだめなんですか?」


「逆は駄目だ、シュリちゃんはあまり知らないだろうが南のスライムは物理耐性をもってたりすんのよね、だからボスがスライムだったら下手したらシュリちゃんが危なくなっちまう」


多分一撃で倒せると思うけど、どうなんだろうか

ここは魔法も使えますと言って、みんなの危険を減らした方がいいんじゃないのか、それとも北エリアの敵は他の場所よりも強いからそこに私が行った方がいいのか…


「シュリちゃん、正直なところ北で大群が来たら倒せると思うか?俺はそこだけが不安なんだけどよ」


「余裕ですね」


即答してみせると、そうかそうかと楽しそうに笑った


「じゃあ頼む、南は任せろ魔法職だけはやたら多いからなここのプレイヤー共は」


攻略は明日からだから休んどけよとライダーさんは帰っていった。


そのあと入れ替わるようにアインさんが来て怒られた


「ライダーから聞いてるからな!東に1人で行くなって言っただろ!」


説教が始まるんだなと思ってたらと聞き流していたら、その中でアインさんがよくわからないことを一つ言い出した


「シュリは今回町で留守番だけど、みんなを頼むな」


「留守番ですか?」


「あれ?ライダーから聞いてないか?今回物理耐性の敵だと思うからシュリは町で待機って」


あー…アインさんが多分過保護みたいになってるから嘘ついたのかな?

ここで北に行くんですよね〜とか気軽に言っても怒られるだけだから言わないけど

後から結局怒られる気がする。


「立派に留守番するので応援してて下さい」


「留守番に立派もなにもないだろ!」


そのあとも雑談を交わして明日があるからとアインさんは帰っていった




明日死人が出ないことを祈ろう。

私がレベルアップしてまたみんなが死なないようにしないと、本当なら南ダンジョンも北も全部私一人の方が確実だけど

みんなの優しい配慮が少し胸に痛い




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