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12 町奪還


プレッシャーがないと言えば嘘になるこの状況…どうも魔王です。



ラマーさんに話した勝つ内容、それは私が町の内部にいるモンスターを掃討するからここにいる戦える人たちに町の周りを見守ってもらうこと


西の森にダンジョンがあるということはそこから町にモンスターが移動してる可能性があればいくら私一人で倒してもキリがなく

さらに言えば、町の中そのものがダンジョンになっているかもしれないならモンスターが逃げてしまわないよう、倒さなくてもいいから足止め、もしくはどこに逃げていくか確認してもらいたいと説明すると


「シュリはそんなに強いのか…?」


心配、疑惑、葛藤してるのか複雑な表情で聞いてきた。


いや…もしかしたら、なんでそんな強いのに助けてくれなかったとか、ダンジョン攻略に行かなかった?と思ってるのかもしれない


「ラマーさん…私自身自分がどこまでいけるか分かりません、予想外のことが起きて死ぬかもしれないです」


「それならせめてみんなで向かった方がいいんじゃないのか?」


「さっき話したと思いますが…建物の中にいた人が捕まるのを見ました…」


「生き残りがまだいるかも…そう言いたいのか?」


頷くと、渋った顔で「お前の連れさんはどうするんだ?」と聞いてくる


「私が死んだらラマーさんが教えてあげてください」


死んだかどうかは石碑のどこかに書かれるのだろうけど、探すのも一苦労だろうからと私からフレンドを送っておく


「はぁ……どうしてだかわからんが、俺の周りは死に急ぐ奴が多いな」


誰のことかは知らないけど、きっとラマーさんのフレンドだった人の誰かのことを言ってるんだろう


「周りを見張るのはいいが、夜になると危ない…つまりそれまでにシュリが帰ってこないと俺はみんなの安全を先に考えてここに戻るぞ?」


「十分です、次の日も来てくださいね?」


「1日以上モンスター退治するつもりだったのか…!」


むしろ数時間で町のモンスターを残さず倒すことができると思っていたの?と思うけど、逆にずっと閉じこもってモンスター退治もありえないと考えるのかな…?


そう言えば、普通のプレイヤーなら眠気があるんだった…私は眠気なんてないからつい忘れてしまう


「私一人だと町も広いですからね、せめて2日もらわないと倒しきる自信ないです」


「本当に大丈夫なのか?もう先に言っておくが、おれはシュリが自殺するために町に行くとしか考えれないんだが」


あ…あの表情は心配とかそういうのではなかったんだ…


「大丈夫です、任せてください」


私なりに、胸を張って安心させてあげようと思って言ったのだけど、信頼されてないのか溜息されながらフレンド認証されてしまった


とりあえず、みんなと一緒に行ってもまた何か言われそうだから先に向かうと残してラマーさんには見張りの方を任せた





町に向かう途中…ふと1人に久しぶりになった気がするなって思う


アインさんと会ってからなんだかんだずっと一緒にいて…とはいっても大半はモンスター狩りの記憶しかないけど

それでも最初みたいに何をしようとか魔王だからどうしようとか考える暇なく過ごせたかなって感謝したい


さすがにレベルも上がった魔王のステータスで死ぬとは思えないけど、油断してたから前線プレイヤーが死んだのかもしれないし、慎重に倒さないと


そして生きてたらアインさんにありがとうの一言でもいってあげようかなと思う



時間的には昼になって間がない頃、太陽が町を照らしてるのにも関わらず黒い蜘蛛がうようよしてる


朝見た時より数が多い気がするけど、もともと私は虫嫌いだから5匹でも相当きつい…



さて…と!


それじゃあ魔王様になってから初めて本気で戦ってみよう…!



町にある程度近づくと蜘蛛の索敵範囲に入ったのか数匹がこちらへ走り出す


少なからずオオカミやツノウサギ、犬などそれぞれのモンスターにはAIがあって色々な行動をとるのだけど、今回の蜘蛛は突進だけしてきた


8本の足を器用に私が避けようとすれば、そちらへすぐさま方向転換してくるから下手に避けようとするより正面から斬り捨てることにする


蜘蛛が前足2本を防御するような動きで交差させてくるけど、剣だからなのか単純に魔王のステータスだからなのか真っ二つにさっくりと斬れた


後続してた蜘蛛も同じように斬るけど…2つになった蜘蛛はまだ足をくねくね動かしてしばらくして粒子に変わる…これが相当気持ち悪いうえ、斬ったら体液が狙ったかのように私にかかる


とにかく、町に徘徊してる蜘蛛は一撃で倒せるのは確認できたのだから同じことを繰り返すだけと、町の中に入り掃討を始める



町に入る前にも蜘蛛が数十匹、入ればさらに増えた数が行列を作り迫ってくるのは恐怖でしかない


蜘蛛好きな人に代わってあげたいくらいに熱烈な行列…これ全部倒すとなると2日で足りるのか不安でしかない


そしていくらか斬り捨てて気づいたのだけど、蜘蛛に外殻が存在していて、そこに剣を当てると私のATKで弾けるけど、最初の蜘蛛みたいに真正面から斬れば蜘蛛の体は二つになる

どっちにしても体液がかかるから関係ないのだけど…たまに忘れるゲーム設定なのだけど、モンスターに存在する弱点を突いてるかどうかかもしれない


弱点に当てれば一応クリティカル判定になるらしく、死に方がたまに変わってるから多分そうなのだろうと思う

真正面…というよりはこの蜘蛛お腹が弱点かもしれないけど


数十、数百?数千?感覚がおかしくなるくらいに次から次へと湧いて出てくる、そして足元へ来るようなら蹴りも加えるのだけど、感触があってなお気持ち悪い



一応来るもの拒まず倒して進んでいるおかげか、後ろを見れば綺麗になってるなっていうのは感じる

けど前や右左から来るものだからこの蜘蛛町の中だと索敵範囲が、広く遠くからでも近づいてるのかもしれない


もしかしたらだけど、町の中に入った時点で全ての蜘蛛がこちらへ来てるなんてこともあるかもしれない

正直あまりの気持ち悪さに願い下げしたいところ、全てが迫ってくれるなら探す手間が、省けて後半楽になるかも


けど、今は止む気配はないし、延々と腕と足を動かして噴水広場まで向かう




途中、倒してる蜘蛛たちの中にたまに違う見た目の蜘蛛がいることに気づく


現在まで倒し続けてるのが黒い蜘蛛で、たまに見かけるのが黒と白がマダラになってる模様のやつがいる、とはいえ一撃に変わりないからどうでもいいと言えばいいんだけど


こいつが通常の蜘蛛の強化版だとしたら、ダンジョンから来たであろうことから推測すると通常のプレイヤーじゃあこの数と強化版蜘蛛勝てない設定なんじゃ…?


蜘蛛の強さがちゃんと分からないけど、この数のモンスターと強化版…デスゲーム開始した人物はこの町崩壊イベントという負けることを前提にしていたということじゃないだろうか…


もしくは私の存在、魔王がみんなに協力して倒せるイベントだったのかもしれない


私がもっと積極的ならとネガティヴになるけど、それは後回しにしてとりあえず目先の蜘蛛たちを駆除していく




日も沈み、視界が暗くて町の壊れた街灯の点滅と蜘蛛の赤く光る目を頼りに剣を振るう


ちょっと自重してくれてるのか、品切れに近いのか、最初ほどの勢いはない程度に蜘蛛が迫ってきている

とはいえそれでも十分に多いのだけど暗くなったことによってたまに背中に引っ付かれたりして悲鳴をあげたいのを我慢したりするハメになっていたからとてもたすかる


それで今度は全身白い蜘蛛が混ざり始めた

一撃で倒せることに変わりないけど、噴水広場…町の中央に近づくにつれてモンスターが変わっていくってことは中央になにかしらのものがある、それかボスがいるかもしれない


さすがに少しくらいは休みたいから噴水広場でボスでも倒したら休憩でもしようかなと考えてたら、ようやく見え始めた




噴水広場に着いて思うことは、とにかく気持ち悪いだけだった


あちらこちらに繭?糸の丸まったナニかが転がってたり、蜘蛛の糸でぶら下がっていたり


そしてその中身を巨大な蜘蛛が食してるのは嫌悪しかできない


中身…おそらくプレイヤーかこの町の住人であると思うけど、生きてるのかは分からない


とりあえず巨大蜘蛛を倒さないと…

向こうも私に気づいてるはずだけど、子蜘蛛?が私に向かって行ってるからか様子を見ている。



私のステータスなら倒せるはずだけど、どうなのだろうか、ボスと戦うの初めてだし、見た目とかからすれば私の方が弱そうなんだけど…


とりあえず子蜘蛛を蹴散らしながら近づくとボス蜘蛛は一歩下がった


もう少し近づくと、ボス蜘蛛はその分だけ後ろに下がる…


雑魚敵のせいでそんな進めるわけではないけどできる限り急いで近づいても逃げていくボス蜘蛛…


進んで、下がられてを繰り返してると中央から少しずつ離れていく、そしてボス蜘蛛はある程度下がったかと思うと巨体を身軽に動かして建物の上に登り中央にまた戻っていく、それで追いつけるわけもなく苦労しながら戻るとまた捕獲されたナニかを食べていた


それを止めようと走っても逃げていく…なんて面倒なボスなんだ…


とりあえず追いつけないので中央で適当に建物よ瓦礫でも拾ってボス蜘蛛に投げるとぶつかった所…左半身が吹き飛んだ



魔王様強いなー…と感心する


しかしこれでボスだと思う蜘蛛は潰せたはずだし、少しは楽に…なると思った時ボス蜘蛛の右半身、残った部分のお腹辺りから大量の蜘蛛が出てきた


その蜘蛛は通常の蜘蛛より赤みを帯びて光っている、夜だから見えやすくて助かるといえば助かるけど、すごく不気味で気持ち悪い


あー…まだ休憩できない…と心の中で溜息する

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