表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/240

91区  桂水高校女子駅伝部大活躍  その5

挿絵(By みてみん)


「それにしても、若宮、湯川、大和に続き藤木まで入賞か。みんなこの一年で随分と強くなったな」


「ですね。見ててください綾子先生。この勢いで駅伝も勝ってみせますから」

葵先輩の決意に私達も元気良く頷く。


紗耶の800m決勝が終わたのが13時。

旅館のチェックインまで時間もあるので、私はサブトラックで明日の最終調整を実施する。


刺激入れに600mを走ってみたが、自分の予想以上に脚は軽く安心した。

昨日迷子になったせいで少々距離を走りすぎて不安だったが、これなら心配なさそうだ。


練習を終え、今日は由香里さんの車で旅館へ向かう。

旅館に着くと荷物を置いて、すぐにみんなでお風呂へ。


それから食事をのため大広間へと向かう。

私の後ろから紘子と雨宮桂が仲良く喋りながらやって来る。


そう言えば、この2人はレース以外では仲が良かったことを思い出した。

まるで私とえいりんのようだ。


その2人の後ろから麻子が入って来る。


「聖香、永野先生見なかった?」

 私が、「見てないわ」と言うとそのまま奥へと行ってしまう。

 

んなやり取りをみて、雨宮桂が反応する。ま

るで尻尾を振って嬉しそうに近づいて来る犬のようだ。


「あなたが澤野聖香さん。初めて見ました」

嬉しそうに私を見る雨宮桂とは対照的に、紘子はなぜか気まずそうだ。


そんな紘子の後ろから今度は藍子がやって来る。


「相変わらずあなたは有名人ね。澤野聖香。中学生の時、県中学ランキング1位……いや最近では県高校駅伝1区区間賞の方が有名なのかしら」

「いえいえ藍先輩。わたし、広島出身なんで、そう言うの知りませんでしたよ。へぇ、澤野さん速いんですね。さすが紘が本気で、す……」


雨宮桂が喋っている途中で紘子が彼女の腕をひっぱり、大広間の奥へと連れて行ってしまった。


「いったいなんだったのかしら?」

「さぁ。むしろ私が聞きたいんだけど」

私も藍子も意味が分からず、首を傾げるしかなかった。


食事とミーティングを終え、布団でゴロゴロしていると携帯が鳴る。


えいりんだろうか。


そう思い、携帯を見て「あれ?」と思う。

差出人は紗耶だ。


しかも紗耶は私の斜め前で携帯をいじっている。


なんだろう? メールをよく見ると添付ファイルがあることに気付く。

何かの写真だ。


それを見た瞬間に私は声を上げてしまった。

みんなが一斉にこっちを見る。


2つ隣の布団にいた紘子が私の所までやって来て、携帯を覗き、同じように声を出す。


「紗耶さん? どう言うことですか! いつの間にか撮ってるし」


そう私の携帯に送られてきたのは、紘子の寝顔だった。

やはり紗耶は、私が起きる前に紘子の寝顔を撮っていたようだ。


「でもぉ、可愛いからぁいいじゃん」

「そう言ってごまかしてもダメですし」

わりと本気で紘子は怒っていた。


「まぁまぁ。聖香も朝、紘子の寝顔をみて可愛いって言ってたかな」

晴美がにやにやしながら意地悪そうに声を出すと、紘子は急に大人しくなった。

いや、大人しくなる意味が理解できないのだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ