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41区  盛り上がれ文化祭!!  その3

挿絵(By みてみん)


私を含め、ステージに上がって来た人数はざっと見ても50人近くいる。


赤や青、黄色などカラフルなTシャツに制服のスカートを履いている子、そのまま制服姿の子、あとは部活の格好なのだろうか? 袴姿や、テニス、バスケ、バレーといった競技のユニホーム姿の子がいた。中にはメイド服姿の子も2、3人。


ただ、少なくとも水着を着ているのは私だけのようだ。


「それではみなさん、お待たせしました。ただいまより、ミス桂水を始めたいと思います」

司会者の一言に会場が歓声に包まれる。


「みなさん、素敵な女性に必要なものは何だと思いますか。私はこう考えます。知力、体力、時の運だと。と言うわけで、まずは○×クイズです」


言い終わると同時に派手なBGMが流れる。なんだろう、この力の入れようは。


「ちなみにこの○×に必要なのは知力だけではありません。体力も重要な要素になって来ます。みなさん、このステージ南北にある渡り廊下の3階をご覧ください」


言われて、ステージに上がっていた私達ばかりか、会場の人達も渡り廊下に目をやる。


北側の3階には大きな「○」と書かれたプラカードを持った男子生徒が。南側には同じく「×」と書かれたカードを持った男子生徒がいた。


「今から問題を出しますので、〇と思った人は北側の3階まで。×と思った人は南側の3階まで走って行ってもらいます。なお、制限時間は50秒です。間に合わない場合は失格となります。それに伴い、現在、通路を文化祭実行委員にて交通規制しております。ご協力お願いします」


いや、50秒ってわりと全力疾走しないと間に合わない気がするのだが。


「それではさっそく一問目行きます。なお、問題を言った後にスタートの合図を鳴らしますので、その合図が鳴ってから50秒とさせていただきます。それでは第一問」


司会者のセリフと同時に、ジャジャンとテレビでお馴染みの効果音が鳴る。


「藤井校長先生の3歳になるお孫さんの名前は、しょうた君である。〇か×か。それでは行きます。よーい」

少し間があってスタートの合図が鳴る

あ、なんか陸上のスタートみたい。

と一瞬だけ思いながら、私は走り出す。


走り出したのは良いが、まったくの勘だ。

そもそも、さっき知力と体力と言っていたが、これはどう考えてもただの運のような気がする。


別にここで敗退しても悔しいとも思わない。

葵先輩が勝手に申し込んだだけだし。


ただ……、悲しい駅伝部の性なのだろうか。

クイズに負けるのは悔しくないのだが、3階の渡り廊下にたどり着くまでは誰にも負けたくなかった。


私は、ものすごい勢いで階段を登って行く。

元々中学生の時から、ロードレースなどでアップダウンを走るのは得意だった。そう言った理由もあり、トラックよりもロードの方が好きだったりする。その中でも駅伝は一番好きだ。


階段をものすごい勢いで上がって、一番に3階の渡り廊下へとたどり着く。ちなみに私が来たのは南側の「×」の方。理由は簡単。ステージで私が立っていたのが、南側だったからだ。


私が辿り着いて10秒くらいすると、次々と他の生徒がやって来る。


どうも、私は圧倒的に早かったようだ。

あまり認めたくないが、スクール水着は邪魔なものがまるで無いので、脚がものすごく動かしやすい。


以前、麻子がハーフパンツでタイムトライをやろうとしていたのを、永野先生がランパンに着替えろと注意してたことがある。


麻子も最初「対して変わらないと思うけど」と言っていたが、走り終わって違いを実感したようだ。


「はい、ここで50秒です」

下から声が聞こえて来る。

それと同時に渡り廊下を男子生徒が封鎖する


。何人かは制限時間をオーバーしたようだ。

こっちの×側にざっと20人。

向こうの○側には25人くらいの生徒が見える。


「それでは正解です。正解は……×です。お孫さんの名前は、しょうた君ではなく、しょう君です」


発表と同時に私の周りから喜びの声が湧き上がる……。


のかと思っていたら、みんなまだ呼吸が戻ってないらしく、ぜいぜい言っていた。


「それでは第二問。ちなみに今度はこのステージを半分に別けて○×エリアにします。そう! 正解だった×側のみなさん。今度は3階からここまで走って降りていただきます。今度は下りですので制限時間は40秒です」


その説明に私の周りから、ため息と絶望の声が上がる。


「体育教師、上原先生の娘が好きな食べ物はプリンである。〇か×か」

気のせいか。

もうまったく知能とはかけ離れた問題になっている気がするのが。


そう思いながらも私はそっと渡り廊下の階段側、男子生徒が封鎖のために立っているすぐ横に移動する。


移動が終わると同時に合図の笛がなり、男子生徒がさっと道を開ける。


おかげでスタートの合図と同時に飛び出すことに成功する。

これも悲しきランナーの習性と言わざるを得ない。


さっきの登りでかなり脚を使ったのだろう。

太ももの前側が重たくなっていた。


でも下りなら、どうにかそれをごまかしつつ走れる。


タッタッタッとリズムよくどんどんと階段を下って行く。

もう今日の練習はこれで終了でも良いくらいの全力疾走だ。


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