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39区  盛り上がれ文化祭!!  その1

挿絵(By みてみん)


DVDを見た次の日、私達は家庭科調理室にいた。

文化祭の模擬店で出す料理は、顧問と家庭科の先生に試食してもらい承諾を得ないと、当日出展出来ない決まりになっている。


ちなみに駅伝部はお好み焼きを作ることになっていた。

わりと誰でも出来るし、多くのお客さんに売るためには、大量に作れる物の方が良いだろうと言う理由からだ。


小、中の調理実習で見て来たが、晴美の料理の腕は当時と変わらずかなりの物だった。


手早く野菜を切り、てきぱきと小麦粉を混ぜ、油を引き、生地を薄く延ばして野菜や肉を盛り、パッとひっくり返し、あっと言う間に完成。


ちなみに、隣が広島県と言うこともあり、広島風で作っている。


さらには、葵先輩も晴美に負け時劣らず、上手かった。

「両親が忙しいから、よく料理はするからね」と、私達に説明しながら、いとも簡単に生地をひっくり返す。


私と久美子先輩、紗耶はどんぐりの背比べ。

晴美と葵先輩に比べるとあきらかに手際が悪かった。

でも、味の方は問題ない。


問題は麻子だ。

まったく料理が出来ない……。


だったら、どれだけ良かったか。


麻子は晴美とほぼ同じくらいの速さで野菜を切り、まったく無駄の無い動きで、晴美以上に綺麗なお好み焼きを焼いてみせた。


これには私達も驚く。

せっかくなので試食をすると……、なぜかとんでも無くまずかった。


そもそも、どうやったらまずいお好み焼きを作れるのだろうか。


変な物を隠し味に入れたのならいざ知らず、調味料などもみんなと同じ物を使っている。しかも見る限り、麻子と私達で調味料の分量があきらかに違う感じもしなかった。


「麻子、ちょっとこの野菜と肉で野菜炒めを作ってくれないかな」

晴美が残っていた野菜と豚肉を麻子に渡す。

麻子は「それくらい簡単よ」と言い、やはり手慣れた感じで野菜炒めを作る。それを試食すると、やはりまずい。


「これは……原因がわからないかな」

晴美が野菜炒めを食べ、首を捻る。

結局、葵先輩の判断で麻子は売り子専門にされてしまった。


「あと聖香も売り子ね」

葵先輩の一言に私は首を捻る。

なんで私が? 理由がまったく分からない。


「模擬店を出す部活で女子部員がいるところは、1名出すことが決まりなのよね。大丈夫、聖香なら良い線いくと思うわ」

葵先輩は自分のカバンからA4の紙を一枚取り出し、机の上に置く。


その紙を覗き込んだ私は思わず声を上げてしまう。


「ミス桂水開催のお知らせ?」

「そう。けいすい祭初日のメインイベントね。これに出てもらうから、聖香は売り子専門ってことで。その方が途中抜けやすいでしょ」


いやいや、まずはなんで部員の中で私が選ばれたか説明して欲しいのだが。


もちろん、この後具体的な説明もみんなからの反対も無く、私がミスコンに出るのは決定事項となってしまった。


ふと高校名は「かつらみず」なのに、なぜか文化祭は「けいすい」だと言うことを思い出す。


「そうそう。水着審査もあるから、スクール水着も持って来てね。あ、売り子も水着でやって良いから」

葵先輩の一言は私が考えていたことを一瞬んで消し去るくらいに衝撃だった。冗談だろうと思いプリントを見ると、本当に「要:スクール水着」と書かれており愕然とする。


うちの学校、なんでこう言うことにはのりのりなんだろうか。


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