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19区  桂水高校女子駅伝部初陣!!  その6

挿絵(By みてみん)


葵先輩のいる第二集団が私の前を通過する。


葵先輩に必死で声をかけると、その声に反応するかのように集団の最後尾から1人を抜かして総合8位にあがる。


上位8人の順位に変化が無いままレースは進んでいく。


ただ、各選手の間隔に変化が出始めていた。


藍子が引っ張る4人の集団に第二集団を引っ張っていた城華大付属の生徒が追い付こうとしていた。


逆に葵先輩を含めた数人が集団から遅れ始める。


藍子を含めた5人の第一集団と、その後方15mに葵先輩がいる3人の集団が出来上がる。


第一集団5人のうち、城華大付属が3人もいる。


その事実が、いかに城華大付属が県内でも飛び抜けた力を持っているかを体現していた。


葵先輩は必死で頑張っていた。

しっかりと腕を振りながら、前2人に離されまいと踏ん張る。


脚の動きはスタートしたころに比べると重くなっている感じはするが、それでもまだ大丈夫そうだ。


なによりも眼がまったく死んでいない。

むしろ「絶対に負けてなるものか」と言う意志があふれ出ている感じがした。


先頭が5周してラスト1000mになった所でレースが動く。


途中まで葵先輩のいる第二集団を引っ張り、藍子が引っ張る先頭集団に追いついた城華大付属の生徒が先頭に出る。


「城華大付属の宮本さんを先頭に、先頭は2000m。この1周のラップは……」


場内アナウンスがラップを読み上げる声が聞こえる。

宮本さんと言う選手は先頭に立つとどんどん後方との差を広げる。


さっきまで先頭を走っていた藍子も負けじと追っているのだが、追いつくことが出来ない。


途中で宮本さんが第二集団にいたことを考えると、最初から後半で仕掛けようと狙っていたのだろうか。


宮本さんのスパートによって先頭集団は完全にばらける。


宮本さん、藍子、聖ルートリア、泉原学院、もう1人名前の分からない城華大付属の選手、5人がそれぞれ1mから2m程の間隔を開けながら縦一列になって走る。


それと対照的に葵先輩は3人の集団のまま走り続けている。


葵先輩と9位の選手の差はすでに15m程に広がっていた。

ペースも落ちていないし、このまま行けば8位はキープ出来そうだ。


もちろん一つでも上の順位、1秒でも速いタイムを出して欲しいし、そのために私も必死で葵先輩を応援する。


葵先輩が私の前を通過した後、今度は藍子を眼で追う。


レース前、強気に「私のレースを見てなさい」と言っていただけのことはあり、今でも2位で走り続けていた。


3000mの3組目と言えば、いわば各校のエースが集まる組だ。


そんな人達を相手に先頭を引っ張り続け、物怖じすることなく、堂々と走っている。


えいりんも藍子も、私が親と色々あって走ることをあきらめたり、そこからみんなに出会ってまた走り出したりと、色々やっているうちに一気に力をつけていた。


正直、そんな彼女達を見ても不思議と悔しさはなかった。


むしろ、ちょっと面白いかもと感じている自分がいる。

どんなにすごくなっても、私は絶対に追いついてみせる。

いや、追い抜いてみせる。


そう思っているとラスト1周の鐘が鳴る。


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