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128区  波乱万丈ロードレースその3

挿絵(By みてみん)


私達だけでなく、周りの男性ランナー達も騒めきだす。


「みなさま。今日5キロの部を一緒に走ってくださいます、昨年度世界選手権マラソン日本代表の水上舞衣子さんんです」

マイクを使って紹介されると水上さんは私達に一礼する。

それに対し私達も拍手で返す。


「ちなみに水上さん、今日は女性ランナーの先頭と一緒に走られるそうです。ちょうど先頭に元気のよさそうな女子高校生達がいますね。水上さんせっかくですので、彼女達とスタートしてはいかかでしょうか」


大会運営者の人に言われて、水上さんは笑顔で賛成し、私達の所へやって来る。

周りの市民ランナーの方々も拍手で迎える。


水上さんは駅伝部の中心にやって来られた。

幸運にも私のすぐ隣。


水上さんの左手側に私が、右手側に紘子が、後ろには葵先輩がいる格好となる。


「今日はよろしくね。あ、桂水高校ってもしかして顧問は永野綾子?」

「はい。さっき綾子先生が電話されていた時、私達もすぐ側にいました。お恥ずかしながらサインをお願いしますと言ったメンバーです」

葵先輩が少し恥ずかしそうに答える。


永野先生の教え子と分かって、親近感が沸いたのか、水上さんの笑顔が3割増しくらいになる。


隣で見る水上さんは、なんとも体が細かった。

日本でマラソンのトップクラスになろうと思ったら、こんなにも体を絞らないといけないのだろうか。


私も正直に言うと体は細い方ではあるが、水上さんはその私より一回りくらい体が細い。


でもハーフパンツから覗いて見える太ももなどは、しっかり筋肉が付いており、無駄な脂肪がまったく見当たらない。


私達高校生ランナーと実業団選手の違いをハッキリと感じる。


「こら、聖香。そんなにじろじろ見ない」

私の斜め後ろにいた麻子が、肩に寄りかかって来るような感じで、そっと耳打ちして来る。


「いや、あまりにも無駄の無い体に思わず見とれてしまって……」

私も隣の水上さんに聞こえないように、そっと麻子に返事をする。


「あら、聖香は水上さん以上に無駄がない体をしてると思うけど? 一部分だけ」

「麻子……。まさか胸がとか言うんじゃないんでしょうね」


私が睨むと、すっと麻子が視線を外す。


まったく麻子め。


自分で思ってたことを他人に言われると、なんとも腹が立つものだ。


「スタート30秒前です」

係員のアナウンスが流れる。


「ちなみにみなさんは、どれくらいのタイムで走るつもりですか?」

「この前、5000mで15分36秒だったので今日は15分30秒切りで」

「私は、16分を切れたらいいなと」

紘子と私が答えると、水上さんは「な、何を言ってるの?」とばかりに私と紘子を交互に何度も見る。


水上さんが何かを言おうとした瞬間にピストルが鳴り、約400人のランナーが一斉にスタートをする。

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