119区 県高校選手権、またもやあの子と対決その1
文化祭が終わって一週間後の昼休み。
私は永野先生に呼び出された。
呼び出される理由がまったく見つからず、「いったいどうしたんですか?」と聞くと、一冊の雑誌を渡された。
月刊陸上競技マガジンの10月号だった。
「その付箋を貼ってあるところ見てみろ」
言われて、ページを開くと自分が載っていた。
一瞬ビックリしたが、すぐに3000m障害で高校新を出した時の写真だと気付く。
見開きページの左側に大きく電動計時前で撮った笑顔の写真が。
右側にはレース展開とインタビューでの受け答え、記者の感想が載っていた。
「なんだか恥ずかしいですね。超新星のごとく現れたシンデレラガールって、これ何ですか」
「いや、私に聞かれてもな。まぁ、でも良かったじゃないか。一生の記念だぞ。お前にやろうと思ってさっき学校を抜けて買って来たんだ。持って帰って良いぞ」
「ほんとうですか? ありがとうございます。大切に取っておきます。あ、次に載る時は駅伝部全員で載りたいですね。都大路で優勝とかして」
私にとっては半分冗談のつもりだったのだが。
「そうだな。今年は城華大付属を倒せる最大のチャンスの年だからな。私も色々とオーダーなどを考えてはいるが……」
と、永野先生は真剣に考え込んでいた。
差出人:市島瑛理
題名:今月号の
本文:陸マガ見たよ。見開きでさわのん特集だったね。
差出人:澤野聖香
題名:え?
本文:もう見たんだ。正直、うれしい反面かなり恥ずかしいんだよね。でも大切に取っておくつもり。
差出人:市島瑛理
題名:ああ、すごく分かる
本文:私も昨年の都大路で区間賞を取った時に陸マガに顔写真が載って同じような感じだった。でもあの時は、ページの隅にコメントと写真が載っただけだよ。それを考えたら、さわのんはすごいよ




