小さな後悔
見掛けたのか、見付けたのか……。
平日の昼間から、公園のベンチに座り込み、煙草を片手に物思いに老け込む男。彼の心境はわからない。しかし、彼のその沈んだ瞳から、決して明るい世界を想像しているとは感じられない。
少し小太りで、長身の彼は、携帯電話を片手に何やら書いている様子。
不意に男の手が止まったと思うと、彼は脚を組み直し、しばらくしてから、また携帯電話を触りだした。
俯き加減だが、時折前を見るその目に希望はない。苦しみに耐え、その思いを携帯電話に打ち込んでいるのだろうか。
そんな彼をしばらく見ていたが、こちらまで重苦しい気分になりそうだったので、途中で後ろ髪を引かれる思いの中、その場を立ち去った。
『あの後、男はどうしたのだろう……』
気にはなったが、その顛末を知る術を自分は持ち合わせていない。
結末は、知らない方がよい場合もあるのでしょうか?