「君を婚約破棄する」「い・や・で・す(怒)」
王子から婚約破棄を告げられたファンファーレ伯爵令嬢は、怒りの拒否声明を出す。
「君が嫌だと言っても、婚約破棄はくつがらないぞ」
ファンファーレ伯爵令嬢は繰り返す。
「い・や・で・す(怒)」
「納得できませんよ。私は承知しませんよ」
きぜんとした態度で、ファンファーレ伯爵令嬢は宣言する。
「頭のいい君なら、わかっているはずだ。ここで君が強い調子で断ろうが、婚約破棄はおこなわれることが」
ファンファーレ伯爵令嬢は繰り返す。
「い・や・で・す(泣)」
良くも悪くも伯爵令嬢そのもの。
そう評されるファンファーレ伯爵令嬢は、いままで人前で泣いたりすることなどなかった。
人前で感情をあらわにすることなど、貴族のする行為ではないからだ。
しかし、いまファンファーレ伯爵令嬢は泣きじゃくり鼻水まで流していた。
「嫌です。私は王子と別れたくないです」
「泣いたって、駄目なのはわかっているだろう」
「納得できません。全然、納得できないですって」
「君がどんなにごねようと、世論は変えられない。連日、デモも起きている。僕は君を婚約破棄しなければならない」
「私は王子のこと大好きですよ」
「個人の感情など問題じゃない」
「王子だって私のこと大好きじゃないですか」
「そうだけどさ」
「だったら、婚約破棄なんてやめましょうよ」
「それが無理なのはわかっているだろう。世間では君は差別主義者になっていて、連日獣人族のデモが発生していて、彼らの不満を少しでも解消させなくちゃいけない段階になっているんだよ」
「ケッ、あの獣もどきが。抜け毛が多くて迷惑なのよ」
「やめろよ!絶対にそれを発言しちゃあ駄目だってわかっているだろう」
「私と王子を引き裂こうとする奴らなんて敵ですよ」
「ほとぼりが冷めたら、僕は王位継承権を弟に譲るから、世間から目立たなくなったら結婚しよう」
「王子」
「君を王妃にできなかった、すまない」
「私は王子と一緒になれるだけで幸せです。私の方こそ、あなたを王座からおろしてしまった。すみません」
「僕が、王なんかのガラじゃないことは、君が良く知っているだろ」
「王子。王位継承しない者は、結婚しようとする相手にプロポーズをするものです」
「そうだな」
王子は、婚約破棄する相手にプロポーズをする。
「僕と結婚してくれ」
「はい」
将来を誓いあい、婚約破棄が成立する。
涙と鼻水を拭き、一旦落ち着いたファンファーレ伯爵令嬢は愚痴る。
「やっぱり、納得できませんよ。世間じゃ、私が獣人族を差別している大悪人になっているし」
「あの発言はまずいよ。獣人族は人間の奴隷なのかって怒っているんだよ」
「いや、だって、あいつら獣人族カフェをたくさん作っているじゃないですか。ハレンチなミニスカートはいて首輪つけて、お帰りなさいませご主人様って言っているじゃないですか」
「そうだけど、獣人族自身がネタにするのと、人間が発言するのは違くなるから」
「私はただ獣人族のメイドに、やっぱり人間の彼とエッチするときには首輪とかつけているのって聞いただけじゃないですか」
おわり




