これからも共に
「おはようございます、翠明さま」
「ええ、おはようございます澄玲さま」
それから、二週間ほど経て。
扉のほど近くにて、柔らかな微笑で挨拶を述べる翠明さま。彼に導かれ外に出ると、空には雲一つない青が広がって。洗濯物がよく乾きそうで何よりです。
あの日――翠明さまが真摯な想いを伝えてくださったあの日以降、私達は一つ屋根の下にて共に過ごしております。
「……ですが、やはり少々気掛かりではあります。翠明さまは、とても素敵な御方――なので、翠明さまとなるべく長く共にいたいがために、無意識であれ雨を願う女性も少なからずいらっしゃるかと」
「……それを仰るなら、貴女もでしょう。澄玲さまのような素敵な女性と、少しでも長く共にありたいと願う男性は決して少なくないでしょう。実際、私はそれを願った結果、今ここにいるわけですし」
「……っ!! ……それは、私だって……」
その後、共に台所に立ち会話を交わす私達。ただの閑談の類であり、本当に不服を申したいわけではありませんが……それでも、些かの不安が生じてしまうのもまた事実で。いえ、決して彼を信頼していないわけではないのですが。
「……ですが、いずれにせよ心配はないかと」
すると、ふとそう口にする翠明さま。そして、ふっと微笑み徐に言葉を紡ぎます。私の大好きな、あの陽だまりのような笑顔で。
「少々、お気の毒ではありますが……そのような方々にとって、ここに留まり続けることはきっと苦行になってしまうでしょうから」




