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遣らずの雨  作者: 暦海


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5/9

もう二度と。

「……そのような、ことが……」



 それから、しばらくして。

 私の話を聞き終えた後、ややあって神妙なお表情(かお)でそう口になさる翠明(すいめい)さま。お話ししたのは、心から強く願うことで自身の意思にて実際に雨を降らせてしまう能力(ちから)があること。それも、無意識であれその願いは効力を発してしまうこと。意識的に降雨(それ)を願ったわけではないのに、こうして翠明さまを引き留めてしまっている今の現状がまさしくそうで。そして、この能力(ちから)ゆえ前述の理由により両親が私をおいていなくなってしまったこと。そして――



「……その御方のことは、存ぜぬ身ながら深くご冥福をお祈りします。……ですが、それはあくまでも不幸な事故――決して、澄玲(すみれ)さまの責任などではありません。なので、どうかご自身をお責めにならないでください、澄玲さま」



 そう、ご心痛の表情でお告げになる翠明さま。何に対してかと申しますと――二年ほど前、翠明さまと同様にこの能力(ちから)にて引き留めてしまった若い旅人に関してで。


 その男性(ひと)も、大変お優しい方でした。彼との時間もとても心地好く、きっと無意識であれ願っていたのでしょう。現在と同様、来る日も来る日も雨は止むことを知らず――

 そして、ある朝のこと。やはり、ずっと(とど)まっているわけにはいかなかったのでしょう。深い謝罪と共に去ってしまった彼が――豪雨による土砂崩れにて、帰らぬ人となってしまいました。


 ……なので、もう二度と……決して、もう引き起こしてはなりません。あのような悲劇は、もう二度と。







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