クソデカ感情
好き、好きに決まってるでしょ? どんだけ拗らせてたと思ってんのよ、なめんな!
「す、好き。そりゃ好きだよ!」
「僕も好き」
「あ、ありがとう?」
「だからいいでしょ?」
いや、イコールにならないでしょうが!
「よくない! 場所の問題! それと! ちゃんと告白くらいしてくんない!?」
だって、だってさ? 今の段階だとお互いが“好き”を確め合っただけじゃん? なーなーにしたくない、絢斗との関係は。こんなチャンス二度とないもん。どうせなら絢斗から『付き合ってください』って告白されたいという何よりも深ぁぁ~い、私の願望と欲求が抑えきれない!!
── すると、私の視界から突然姿を消した絢斗。ゆっく~り顔を少しだけ下げてみると、片膝を地面につけている絢斗が視界に入った。
・・・えーっと、君は何をしているのかな?
絢斗は私の左手を優しく丁寧にそっと掬った。そして、薬指にチュッと口づけをする。
「一生幸せにする。僕を選んだこと、絶対に後悔なんてさせない。何があっても離れないし、離さない。死んでも離さない、死んでからも離してやんない。絶対に」
お、おう。サンキューな?
「だから、未琴好みの男じゃないかもしれないけど……僕と結婚してください」
「うん……って、結婚っっ!?」
「当たり前でしょ」
ムクッと立ち上がった絢斗が少し屈んで私の顔をジーッと見つめてくる。
「僕は未琴と結婚しない……なんて選択肢は無いよ」
「え、あ、あの、ちょっと気が早っ」
「僕はもう、とっくの昔から心に誓ってるよ」
「へえー。そ、そっか」
なんか絢斗って、クソデカ感情拗らせ野郎になってないか……!?
「今まで我慢してきた分、これから未琴に全部ぶつけるから。覚悟しておいてね」
「あ、あの、えーっと、程々でお願いしまっ……」
「なに言ってるの、未琴。今まで散々、僕に色々と仕掛けてきたくせに。僕がどれだけ我慢してたか知ってる? 今さら怖じ気づくなんてそんなの……許さないから」
「ご、ごめん! それは本当にごめっ」
「いいよ。謝罪も言い訳も全部ベッドの上で聞いてあげるから」
「え、あ、え……ま、待って……待ってぇぇ!!」
── こうして長年拗らせてきた幼なじみの陰キャ君と私は、めでたく無事に結ばれましたとさ。
「……いや、ちょっと待って! 全っっ然無事ではないけどね!?」
「ん? 何を言ってるの? あ、待って未琴……まだ足んない」
「え、ちょっ……もう無理っ!」
「大丈夫だよ。次は激しくしないから」
「そういう問題じゃないっ!!」
「そっか。なら、遠慮なく激しくさせてもらうね」
「違う違う違う違う!! そうじゃなぁぁい!!」
「もぉ、我儘だなぁ。可愛いね、未琴は」
私は必死にベッドから逃げ出そうとした。でも、ひょいっと元に戻される。
「そんだけ動ける元気があれば、まだまだイけそうだね」
「やめろ!! その言い方!! あの、絢斗? ほんと腰砕けちゃうって……」
「そっか。じゃあ一緒に砕けよ? 僕も張り切って頑張るから」
・・・ちっっがぁぁうっっ!!!!
そして、絢斗の溜まりに溜まったクソデカ感情をぶつけられまくったとさ。