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第三十四章

「もう十分でしょう」

 そこまで思い出したとき、希はそう言って、僕の額から手を離した。


 僕は頭を抱え、地面に突っ伏して泣き喚いた。

「こんな大変なことを思い出せなかったなんて! 希、ごめん、本当にごめんよ!」

 希は悲しそうに僕を見つめていたが、しゃがみ込んで僕の肩に手を掛け、抱擁した。


「思い出せなかったのは仕方のないことだわ。あんな辛い思い出なんて覚えていたら、生きていけない」

「……」

「私はね、いえ、父さんも母さんも洋君もみんな、お兄ちゃんが覚えていないほうがいいとずっと思っていたの」

「……僕のせいでみんな死んでしまったんだ」

「それは違うわ。悪い偶然が重なってしまっただけ。康平君はいつも優しくて、私の自慢のおにいちゃんだった。お母さんはいつも私に、残してきたお兄ちゃんのほうが心配って言ってるわ。私もそう思ってる」

「……」


 僕はただ、希の顔を言葉もなく眺めるしかなかった。



第三十五章に続く

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