乙女は怖いわよ
ドガッ!
ミサオが殴り付けた壁には拳がめり込んだ。その衝撃で壁がガラガラと音を立てて崩れ落ちた。
「ひぃっ!?」
ミサオの力にローダーは驚愕しその場にへたり込んだ。
ミサオはローダーの前まで行き、しゃがんでローダーの髪を強引に掴んだ。
「アンタ達、勇者なのにか弱い女子をキズモノにしてんじゃないわよ」
「た、助けて……」
「あの娘だってそうやって命乞いしてんのにアンタ達はヘラヘラ笑ってたじゃない」
「すいません。もうしないから勘弁してください」
「ダメよ自分のやったコトを後悔しながら死になさい」
シュッ――
ミサオはローダーの首をナイフで切り裂いた。その瞬間、首からは血が吹き出しミサオを赤く染めた。
「もぅ、顔射は精子だけにしてほしいわ」
まぁかけられたことなんて無いけどね。
「さてと……」
血まみれの顔を拭いながらミサオは倒れているゼナへ近づいていった。
「アンタ、いつまで寝てんのよ。いい加減起きなさい」
ミサオはゼナのミゾオチに蹴りを入れた。
「ヴッ! ゲホッゲホッ」
途端に咳き込みゼナは苦しそうに目を覚ました。
「まったくお寝坊さんね。もうほとんど終わっちゃったわよ」
「な、何が終わったんだよ……」
ヨロヨロと身体を起こしながらゼナは回りを見渡し、驚愕した。
「……な、何だコレは……」
血を流し倒れている仲間達。横たわっているドロシー。そして目の前で仁王立ちのミサオ。
「こ、これをお前がやったのか……」
「そうよ。他に誰が殺るのよ」
「う、嘘だ。全員勇者だったんだぞ!?それがこんな……」
「まぁアタシも勇者だけどね」
「お……俺をどうする気だ……」
自身の置かれている状況を理解したゼナはミサオから距離を取るように後ずさった。
「どうするって……そんなの決まってんじゃない」
後ずさった分だけミサオはゼナに近づいた。
「さっきまでのことは謝る。それに金だって好きなだけやる。だから……」
「だから?」
「だから、こ、殺さないでくれ」
目に涙を浮かべ、恐怖で声も上ずっている。
あぁ……このシチェーションたまんないわ……こんなサディスティックな気分久々よ。小股がジュンジュンしちゃう。
「でもアンタ達も女子に散々酷いコトしてきたんでしょ? 自業自得よ」
「なぁ、頼むよ……見逃してくれたら何でも言うこと聞くから……」
「あら、それも悪くないわね」
「だ、だろ? だから――」
「ドロシーちゃん。どうする?」
唐突にミサオはドロシーへ話を振った。怒りと憎しみに満ちたその目でこちらを睨んでいた。
「さっさと死ね! このクズ!」
ドロシーの声を受けた瞬間――ミサオはナイフを一振りした。
少し間を置いてゼナの首から上が身体から落ち、血が吹き出した。
「女の怨みは恐いのよ」
ミサオは小さく呟いた。
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