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夜の宴なのよ

ダンジョンの4層でミサオ達は食事をとっていた。

出入口が一つのだだっ広いこの場所には防御結界が施され、魔物の気配は無かった。


本当に魔物が入って来ないのね……


「2人ともダンジョンは初めてだし今日は早めに休もうか」

「そうね。初めてのダンジョンは割りとスムーズに進めたわね」

「そうですね。ここにいる皆さん、本当に強くて安心しました」

「そうっしょ? 明日も俺達が2人を守るから安心して」

「は、はい。よろしくお願いします」


アタシは戦えなくって欲求不満だったけどね。


「さぁ、そろそろ休もうか。でもその前に……」


おもむろにリーダーのゼナが立ち上がり、ドロシーへ近づいた。それを見計らったように他の者達もドロシーとミサオへ寄ってきた。


「ど、どうしたんですか?」


異変に気付いたドロシーは怯えた表情をうかべる。


「そんなに怖がることはないよ。ただ僕たちと親睦を深めてもらおうと思ってね」

「そうそう、ドロシーちゃんもミサオちゃんも可愛いからさ」

「なにも怖がることわねぇ。楽しくしようや」


ゼナにローダーそれにマッキリーはドロシーに優しく話しかける。だが、その言葉とは裏腹に3人の表情には下品な笑みが、溢れている。

カミル、トガ、ヨドンはミサオに迫っている。


きゃー! もしかしてそういうこと!? 勇者っていってもやっぱり男の子ね。やっとアタシにもお楽しみがくるわけね!


3人を見回し、怯える素振りを見せつつ、ミサオの胸はこの世界に転生後、かつて無いほどに高ぶっていた。


「えっ、ちょっと待って……じ、冗談よね?」


とかなんとか言ってみたりして。こうやって怯えるフリも場の雰囲気を盛り上げるのに必要よね。あぁ~たまらないわ。


これから起こるコトを想像し、ミサオの鼓動は加速した。


「フッ、この俺達と楽しめるのだ、君もツイている」


なにその発言、むしろ突くのはアナタ達じゃない。


「俺様の華麗なテクニックで君もスグに俺様の虜さ」


ふぉー! いったいどんなコトされるの!? あんなコトやこんなコト? そんなのAVでしか観たことないわよ! ってアタシは致したことは無いんだけどね。でもそれも今日で卒業よ! シッカリ! アタシ!!


「………………」


ってアンタはココでも黙りかーい!


「あ、アタシ達仲間よね!? そんなに乱暴なコトしないわよね?」


アタシがココまで盛り上げてんだからシッカリ乗ってきなさいよね。


「フッ、乱暴なんて失敬な。これはお互いを知るキッカケだよ。仲間になるんだ、お互いの全てを知ることも大事だろ?」

「なに、心配はいらないさ。全て俺様達に任せておけばいい」


自分達の行いを棚に上げまくってるサマ、アタシの初体験に相応しいじゃない。いいわぁ……ゾクゾクしちゃう。


ミサオの昂りが最高潮に達しようとしたその時――


「きゃーーーー!!」


ドロシーが倒されていた。ドロシーの両腕をマッキリーが、両足をローダーが、押さえている。そしてドロシーに馬乗りになったゼナがドロシーの胸を揉んでいる


「や、やめて……放して!」


ドロシーの悲痛な叫びがこの場に響く。


アレいいわ! アタシにもやってほしいわ。ホラ早く!


「ほら、大人しくしないと怪我をするよ?」


ゼナが、優しくドロシーへ語りかける。だが、ドロシーは首を振り、身体をくねらせ、必死に抵抗しようとする。


やっぱり若いコには刺激が強すぎるのかしらね。あんなに嫌がっちゃって。


ドロシーを視界の端で捉えながらミサオはヨドンに両手を抑えられ、トガに両足を抑えられながらカミルに馬乗りにされて頭を固定されキスを受けていた。


この人、知的に見せて意外に荒っぽいキスするのね……そんなんじゃ女子はトキメかないわ……アタシ以外にね。


一応、手足をほどこうと踠くフリは忘れない。やっぱり演技って大事よね。

それにしてもアタシの足を掴んでる俺様的なのさっきからアタシの足をペロペロ舐めてるけど、フェチなのかしら……万が一を考えて無駄毛の処理してきて正解ね。でもこのペロペロが彼の言う『華麗なテクニック』なのかしら。なんか昔飼ってた犬のゴロウを思い出すわ。


そんな物思いにミサオが耽っていると――


ゴッ!


なにやら鈍い音が聞こえてきた。


「あぁ、またか……」

「フッ、リーダーももっとスマートにやらないとな。私みたいに」


トガとカミルが隣を見て口にする。


えっなに……


ミサオも隣に目をやると、ソコには右手を振っているゼナが目に入った。当然ドロシーに馬乗りになったままだ。


「まったく……もう少し大人しくしてくれてもいいじゃないか。そうすれば君も痛い思いをせずに済んだのに……」

「うぅ……う……」


見ると、眼鏡が歪み、泣きじゃくっているドロシーが目に入った。その鼻からは血が流れ落ちている。ゼナに殴られたのは明白だ。


あ~ぁ。やっちゃった……


「フッ、今回は何をされた?」


呆れたようにカミルが、ゼナへ聞いた。


「聞いてくれよ。キスをしてちょっと舌を入れようとしたらこの女、舌に噛みついてきやがった。まったく……人が優しくしてりゃあ付け上がりやがって、これだから女は……」


それを聞いた男達は面白そうに笑っていた。そんな笑い声を聞いてかドロシーは声を殺して泣いている。


「まったく……次やったらもっと痛い目みるからな」

「ねぇ、その前に俺と代わってよ。押さえてるだけじゃ飽きちゃうんだけど」

「もう少し待ってろよ。後でちゃんと譲るから」

「ちぇー『新人喰いのゼナ』はいつもそうだ」

「まぁいいじゃねぇか。後でも先でもやることは変わりねぇ」

「まぁそうだけどさ……ってかそっちはどう?」

「フッ、こっちはボチボチだ。嫌がりはするが――」


カミルの言葉はソコで途切れた。


「カミル? どうし――」


ミサオの足を掴んでいたトガも話すのを止めた。


「おい。お前達どうしたんだ?」


異変に気付いたゼナがミサオ達の方を向いた。そしてその光景に驚愕した。

カミルもトガもヨドンも皆倒れていたのだ。そして3人共血を流していた。


「なっ……」


3人の中央にはミサオが立っている。返り血を浴びたミサオの手にはナイフが握られている。


「お、お前がこれを?」

「バカな……」

「ウソだろ?」


ゼナ達は信じられないモノを見るようにミサオを見ていた。


「あ~ぁ。アンタ達にはガッカリだわ。萎えちゃたわ」


そう言うとミサオはゼナ達の方へ歩き出した。


「なにを――」


ドッ!


ゼナが喋るより速くミサオはゼナを蹴り飛ばした。そして手足を押さえていたマッキリーとローダーも同様に蹴飛ばした。


「大丈夫……じゃないわよね。ホラッ顔をこっちに向けて」

「うぅ……うっ……」


優しくドロシーを抱き上げたミサオはドロシーの顔を覗き込む。


「アチャ~。コレは鼻の骨折れてるわね。カワイイお顔が台無しじゃない」

「こ、コイツ……」


ドロシーの頭を撫でているミサオの背後からゼナが剣を構え近寄って来る。


「眼鏡も壊れちゃって、もう使い物にならないわね」

「死ねーーーー!」


ゼナはミサオへ剣を振り落とした。だが――


「ウルサイ」


バシッ!


ミサオは眼鏡を持っていた手を後ろへ振り、ゼナを叩き飛ばした。


「ぶふっ!」


壁まで飛ばされたゼナはそのまま倒れ込んだ。


「ゼナ! この女、よくもゼナを……」


マッキリーがミサオへ歩み寄ってきた。


「お顔が痛むだろうけどチョット待ってて、ゴミを片付けてくるから」


ドロシーのおでこに軽くキスをし、ミサオは立ち上がった。

マッキリーが拳を振りかぶりミサオへ殴りかかった――


シュッ――


ミサオはマッキリーの拳が届く前にマッキリーとすれ違った。その後――

少しの時間を置いてマッキリーの首から血が吹き出し、マッキリーは前のめりに倒れた。


「ひぃ!?」


あまりの出来事にローダーは驚き、後ずさった。そんなローダーへミサオは歩み寄った。


「な、なんだよ? ちょっと楽しもうとしただけじゃないか? ホラッ、君だって初めは嫌がってたけど満更でもなかったろ?」


ミサオと距離をとろうとローダーは後ずさりながら必死に弁解をする。


「まぁね。もともとアタシは嫌いじゃなかったわよ。彼女もそのうち受け入れるかなーって思ってたし」

「じゃあ――」

「でも暴力はアウトでしょ」


ローダーの背中に壁があたる。後がないローダーは壁づたいに横へ逃げた。


「しかもあろうことか乙女の顔面にぶちかますなんて……アレじゃあ感じるもんも感じないじゃない!」


ミサオはローダーがいた壁へ拳をぶちこんだ。


今回、読んでいただきありがとうございます。「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、評価をよろしくお願いします!



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