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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第三章 相対性正対論
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第八話part9

 ピピー!! 


 そんなホイッスルの音で試合が終了した。点差は一点差、まさにぎりぎりの勝……ではなく敗退だ。これならだれも文句は言わないだろうという結果だろう。私はとても頑張ったと思う。前半は私たちが優勢だった。出来る限り私がゴールを促して、さらには私が動き回ることで、手薄になった他の選手にボールを回してゴールを促す……とかやってた。

 

 でも途中からどうやら相手校は気付いたらしい。何を? それは私と……私以外である。何を言ってるのか? と思うだろう。でも考えてみてほしい。私たちのチームは私の圧倒的な個で勝ち進んできた。それは間違いない。私の力があればこそのチームだといえる。 

 それに対して相手校は全国常連の強豪……いや古豪ともいえる学校だ。3年から1年まで層が厚い。それに監督だって何回かテレビのインタビューとか受けた名将らしい。その経験……そして策略が私たちをからめとった。


 相手校は後半、私を徹底的にマークした。その数四人である。おかしいな? と思っただろう。だってバスケは5対5のチーム戦だ。私に四人を付けたら残るは一人である。そして私に四人つけたら残りのこちらのチームの四人がノーマーク……いや、一人いるから三人がノーマーク? と思うだろう。

 実際は四人がノーマークだった。じゃあ残りの一人は何をしてるのか? それはゴール下に陣取ってたのだ。

 つまりは一人対四人という構図である。本当ならそんなの四人が圧倒的に有利なはずと思うだろう。当然だ。いくらそんなに広くないコートとはいえ、四人が自由に動けたらやりたい放題といえる。でも向こうは見抜いたのだ。

 一人で他の四人は抑えられる……と。そしてそれは事実だった。そもそも私たちのチームで3ポイントを狙えるのは私しかいなかった。そうなるとゴールに近づいてゴールを狙うしかない。そうなると絶対にゴールに近づかないといけないわけで……そうなると古豪ともいえる選手のディフェンスを抜ける技術がこちらの他の選手にはなかったのだ。


 なにせこちらの学校は元は地方予選敗退……それも一回戦を勝ち抜けたらいいね……のチームだったのだ。別にまじめに部活をやってなかったわけじゃない。それなりにまじめにやってた。でも誰も「全国に行くぞー!」――とかいう気持ちでいたわけない。

 みんなが持ってたのは「一回戦勝てたらいいね」……の気持ちだ。それがここ最近に全国が見えて確かに変わった。練習量も多くなったし、みんなのやる気はこれまでにないほどにぶちあがってただろう。でもだからってそんなに簡単に実力が上がるわけない。

 それに古豪にはたくさんの有望な選手が集まってるはずだ。全体的に向こうは大きいし……こっちは普通の高校のバスケ部だ。ここのバスケ部の為にやってくる……なんてない。でもきっと向こうにはバスケの為に入学するとかあると思う。

 その実力差がでた。もちろんそれでも食いついたよ。4人のマークを振り払う動きをしたり、私だけじゃなく、チームの皆もここが正念場だと全力を出したと思う。でも自由に動けなくなって、徐々に前半のリードは詰められて……そしてとうとう追い越されて負けてしまった。


「いい試合だった。また君とは会えると思うな」


 そんなことをなぜか向こうの選手が言ってきて、握手を求められた。なんのこと? と思ったけど、握手はした。そして私たちは監督のもとに集まった。


「よくやった。惜しかったな。だが上出来だ。お前たちは誇りだよ」


 そんなことをいうと、新キャプテンが泣き出した。「悔しいです」って――私はずきんとした。胸が痛い。だって……私が全力を出してたら勝てた。でも……それをしなかった。これは覚悟してたことだ。でも……みんなが泣いてる。


「私たちのせいだよね……」

「私たちが弱かったから……」


 仲間がそんなことを言ってる。痛い……胸が……痛いよ。


「ごめん……なさい」


 私はそう言って下を向いた。涙が自然と体育館の床張りの板に落ちる。涙が汗と混ざって水たまりをつくってる。


「違うよ……稲ちゃんは何も悪くない」

「うん、一番頑張ってくれた」

「私たちが追いついてなかったんだよ!! 足を引っ張った」


 みんながごめんねって泣いてくれてる。でも私のごめんはそうじゃないだよ。力が足りなかったことへの謝罪じゃない。私が負けることを選んだ事への……謝罪なんだ 


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