第七話Part3
「はーふー」
私は深く息を吸って履いてそれを何回も繰り返す。それに対して野々野くんも「吸ってー吐いてー」――とリズムよく言ってくれる。最初は手を握られてそして真正面から見つめられることに興奮というか? 心拍数が上がって仕方なかった。でもどうやら彼はなんとも思ってないのか、それかとても真剣なのか一切どうじてないのだ。
女の子の対応になれてるのだろうか? 兄妹がいる? 妹とか姉とか? それならまあ……それか学校では平賀式部さんみたいな美人と少なくとも交流があるからね。
彼女と比べたら私なんて、女と見られてない? 色々と悶々としたが、同じように呼吸をしていくに連れて私の意識はぼんやりとしてきた。眼の前の野々野くんも気にならなくなってくる。体の内側……鼓動と脈が私の全てになっていく。
まるで高速道路を走る車のように、血流を流れる感覚。そして私は自然とわかってる。この流れがどこに行き着くのか。きっと私の深層心理だから、私の望みをわかってるんだ。
力をこれまでにないレベルで感じる。不思議と怖くはない。いつもは自分はどうなってしまうんだろう? 本当に私は人間なの? と怖くなる。そうなると、力が制御できなくなって、ドアノブを潰したり、スマホを壊したりしてしまう。力自体に怖さがあった。
でも……今はそう思わない。なぜなら、野々野くんが手を握ってくれてるからだ。それが私に安心? をくれてる気がする。彼がいてくれるから、私はこの力と向き合える。
「私の……いうことを聞いて……お願い」
私はそう言って眼の前のパワーに手を向ける。力に原型はなく、なんとなくぼんやりと光ってる……みたいな気がする。それだけだ。でもそこにある……わかる。私の力だから。
そして私のその言葉に答えてくれたのか、力は私の手に吸われてくる。最初はゆっくりと。でも次第に吸引力が変わらない掃除機並みに吸い込んで……私と力はようやく本当の意味で一つになっ……た?
「私……」
私は眼の前の野々野くんと目があった。でも興奮は今はしない。なにか、とても不思議な感覚だからだ。なんだろうこれ?
「あのね、野々野君。みてて」
私はそう言って野々野くんの手を離して立ち上がる。そして空を見上げる。まだくらい空、ちょうどいいところに出っ張った枝がある。何メートルあるだろうか? けど……届くような気がした。
私は跳んだ。そしてやっぱり、その数メートル先にあるその枝に触れてそして着地した。




