第七話Part2
「野々野君早いね」
「ああ、うん。ちょっと眠れなかったんだ」
だから……ゴニョゴニョと続いた。でもそのゴニョゴニョの部分はわかんなかった。というか? 聞いてなかった。だって――
(私たち通じ合ってる!?)
――とそんな風におもってたからだ。浮かれてた。だって自分の気持をわかってしまったら、好きな人と通じ合ってるってテンションが上がる事実じゃない?
「じ、実は私も……なんだ」
とか言ってみたりして。でもそういうと――
「え? 本当? 大丈夫? 今日はやめとこうか?」
――と野々野君は言ってくれる。優しい。天使? いや神か? 私はそんなふうに思ったよ。でもそうじゃないのも確か。だってここで別れたら私のテンションはダダ落ちだよ。だから急いで「だ、大丈夫だから!」――といってなんとか一緒の時間を確保した。
「それで田上さんの力ってのは、体の内側から力が溢れてるってことだよね? それで身体能力が上がって制御が難しくなってる」
「うん」
私はそうしおらしくいったけど、田上さん……か、と思った。もう名前でもいいのに……彼の口から私の名前……か。
「稲」」 それとも「稲ちゃん」? 私は野々野くんの艶やかな口元を見つめながら想像する。
「……さん。田上さん?」
「は、はい。うん、やってみるよ」
私は妄想の世界に入ってしまってた。耳元で稲ちゃんって囁いてくれる妄想だ。それらか「可愛いね」とか「素敵だね」とかいわれてる妄想である。ちょっと顔が赤くなった。私はとりあえず言われたことをやってみる為にベンチにすわる。
女の子らしく可愛らしくすわる。膝小僧をあわせて、脚を少し斜めにする。けどそんな座り方普段はしないから、ちょっと脚が……でも野々野くんには女の子として観て欲しい。だから我慢だ。
落ち着いて呼吸を整えて、私の中の力と向き合ってみて……と言われた。だから落ち着かないといけない。体もリラックスしないといけない。でも……リラックスか……野々野君がいると難しいかも。
だって少しでも良く観られたいじゃん!! それが乙女心ってものだよ!! でもやっぱりこの態勢では体がギチギチとしてる気がする。それに気づいたのか、野々野くんが優しくいってくれる。
「無理しないで。リラックスできる態勢になって良いんだよ」
ベンチに座ってる私の両手を同じ目線になって取ってくれる彼。王子様かな? と思ってしまった。私の心臓はドキドキだ。




