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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
9/816

8P

「はあはあはあ……これは夢か?」


 そんな事を言って男子トイレで野乃野足軽は顔を洗ってた。だって彼女平賀式部はこのクラスのマドンナ。学校でも三大美女とかいわれるくらいである。そんな女の子と冴えない男子が喋って緊張しないわけがない。だから胸の鼓動を落ち着かせるために、教室から逃げてきたのだ。


「一体どういうつもりなんだろう」


 そういって暫し考える。けど、最近超能力者になった野乃野足軽には流石に他人の思考まではわからない。


「思考、読みたいな……どうしたらいいのかわかんないが」


 色々と漫画とかを参考に訓練を考えてる野乃野足軽だが、思考を読む訓練をやってる漫画があったかどうか自信がない。そんなことを思ってると、チャイムが鳴る。野乃野足軽は「やべっ」と言って素早く教室に戻っていった。教室で平賀式部と顔を合わせるのは困ったが、基本真面目な野乃野足軽には授業をサボるなんて事はできなかったのだ。


 放課後


 授業の終わりとホームルームが終わってそれぞれが部活や帰路に向かう。勿論野乃野足軽も学校からさろうとする。しかもなるべくなる早でだ。それは勿論、嬉しくはあるが、どう接していいのかわかんない平賀式部と離れるためである。 


 あれからは一言も喋ってないわけだが……なにやら視線を感じるような気はしてた。でもそれを確かめるすべはない。一応何をやってるのかをこそっと見ようとしたりもした。けど今鍛えてる超能力ではそういうことは向いてなかった。別段使える力ってやつがなかったからだ。


「また明日」


 ふと、背中にそんな声がかけられた。アレから一言も喋ってなかったのに、何故か帰り際にそんなことを言われた。なので野乃野足軽も思わず「また明日」と返した。一気に顔が赤くなる野乃野足軽。急いでカバンをもって教室を出ていく。そんな彼からすぐに平賀式部は視線を外して手元の本に移してたが、それに野乃野足軽が気づくことはなかった。


「やっぱりいないか……」


 昨日ミスって流してしまった水の精霊? 的な謎生物を探しに野乃野足軽は色々と回っていた。浄水施設を回ったり。下水施設を回ったり、全ては海に繋がってるはずだと思って、最終的に海岸まで……今は海を眺めてる。時期的にもう海のシーズンは終わってる。だから海には人がまばらにいる程度だ。


 ペット散歩をしてる人とか、変なダンスしてる人とかだ。野乃野足軽はそんな人達を極力見ないようにしつつ、波に近づく。波のギリギリの所までいってそして砂に手を付ける。すると何度か手を濡らして波が引いていく。波とたわむれるようにパシャパシャとしてる野乃野足軽。その光景は軽く海で遊んでる少年くらいにはみえるだろう。


 変なふうに見えられないように、そんな風にしてる野乃野足軽。そしてそれと同時にどうやら力を海に流してるらしい。


「全ては海に繋がってるはずだし。ここにいないなんてことはない……はず」


 そんなことを呟きつつ波打ち際に手をついて海に触れる。そして力を流す。けどその瞬間だ。


「うっ!?」


 思わずそう言って足軽は腰を浮かして飛び上がった。そして足軽自身がその冷や汗に驚いてる。


「何だ今の?」


 海に力を流した途端に、どうやら足軽はなにかの存在を感じたらしい。それは勿論昨日流した水の精霊みたいなアクアではない。アクアからはそんな感じは微塵も足軽は感じてなかった。野乃野足軽の様子からそれはとても恐ろしいもののようだ。


『海って生命の母とか言われてるし……母かもしれないな今の」


 なんか意味不明なことを言い出してぞこいつ。大丈夫だろうか? でもそんなことを言いつつももう一度挑戦するらしい。野乃野足軽は何回か深呼吸を繰り返して再び波打つ海に手を添えて力を流す。

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