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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第六十二話Part1

 完全に戦力が揃った。鬼男に鬼女、そして幾代。更には操られてた小頭たちも元に戻ったんだ。形成は完全に逆転したといっていい。なにせこの仏像のような妖怪は小頭達を手中に収めることで鬼女の行動を制限することでなんとか渡り合ってたのだ。


 それなのに鬼男と鬼女……その二人を同時に相手にするとどうなるのか? それはもう明白ではないだろうか? つまりは、小頭達の完全勝利。それしかない。あとはもう二人がこの仏像のような妖怪をボッコボコにして門の向こうへと送るだけだ。


「きっとあの妖怪が他の妖怪たちを目覚めさせてたに違いないよ。だからあいつさえ向こうに送れれば、もう大丈夫なはず」

「ええ、アレの力は解除するときに感じたわ。皆私のそばに集まって」


 小頭の言葉に続いて、幾代もそんなふうにいった。幾代は家族を集めて、皆を背にする形にして、両手を広げる。そして集中しだした。


「私の力よ、外からの干渉を防ぐための固定をここに」


 何やら詠唱みたいなことを幾代はいってる。まさかおばあちゃんがそんな風な詠唱をするなんておもってなかった小頭はちょっとムズムズする。なんか自分が恥ずかしいのだ。おばあちゃんは確かに本をよく読んでたが、どちらかというと結構小難しい本を読んでた印象がある小頭である。

 漫画とかでよくある詠唱みたいなのをしてしまうおばあちゃんは幾代の中では意外というか? まあこれまでの事を思いだすと、おばあちゃんは意外と今の時代にちゃんと対応してる……ということはわかる。それにおばあちゃんは呪術の家系ということもわかった。ならば昔から詠唱……いや、日本風に言えば祝詞かな? それに通じててもおかしくはないのかもしれない。

 

「お前無茶をするな! あの二人がいるんじゃ」


 おじいちゃんの言うことは最もではある。お父さんもお母さんも「そうだよ」とか「そうですよ」とかいってる。確かにおばあちゃんはかなりの力を使ってるようで、ちょっと足元がおぼつかない。若返ってるといっても、その体は華奢だ。まさに女性という感じ。

 でも幾代の背はピンと伸びてる。いつだって凛としてたおばあちゃんはきつくても辛くても、凛とした姿を忘れない。そんなところを小頭は尊敬してる。憧れでもある。そんな事をおもってると、風がやんだ。夏の蒸し暑い風が届かなくなったのだ。


 いやそれだけじゃない。なんか声も聞こえなくなった。

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