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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十八話part6

 ゾクッ――と寒気が背中を這ってくる感覚が野々野小頭にはあった。あの仏像のような妖怪がわらったように見えたからだ。でもそれは気のせいだったのか? 次に見たときにはただの仏像のようになってた。いや、尻蹴にされてるせいで悲し気かもしれない。

 でもそんなことはどうでもいいのだ。ここから逃げないといけない。ここは門を一望できる位置にある。ちょっと小高い丘のような場所だ。ほぼ山の頂上なわけだけど、そういう場所がないわけじゃないのだ。

 さっき育代が滑っていったように、降りれない高さでもない。本当ならこの位置も危ないのかもしれないが、大体の妖怪は大妖怪の力の影響を受けてただ門を目指すための行動しかしない。だから危ない……なんてことはなかった。そのはずだった。

 けど確かに妖怪達もすべてを正気に戻す……なんてこともできなく、門を閉じる……ということもできなく、さらには鬼たちをどうにかするほどの力もない……となったらどうするか? それを考えたらこの行動というのは当然ではあった。

 弱点を……最も弱い所を狙うっていうのは戦術として当たり前だ。だってそれが勝利につながるんだから、当然としてそれをやるだろう。卑怯? そんなのは戦場では通用しない。戦場に出てきてる以上、覚悟ってやつを持ってないのはそいつが悪い。

 でもお母さんやおとうさんたちにそれがあったのかといえば難しいだろう。ただ単に彼らは娘である小頭が心配だっただけだ。子供が危険な場所に行くのに親が安全な場所でぬくぬくとしてる? 確かに漫画とかではそういうのはよくあるが、でもそれは親はそんなことをしらない……ということがほとんどだろう。

 だからこそ、待っていられる。何も知らないからだ。もしも知ってたらやっぱり同じような選択をとるんじゃないんだろうか? それが親……というもの。


 ちらっと後ろをみる小頭。仏像のような妖怪は足を動かす……なんてことはしなくても移動出来るようだ。なにせあれが乗ってる頭。それ自体が宙に浮いてるからだ。ゆっくりとそれは小頭たちに近づいてきてる。


「頑張ってお母さん!」


 そういって小頭はお母さんをともなって、おじいちゃんはお父さんを支えながらちょっとした丘を滑りおりる。


カチンカチン――


 どこかから聞こえるそんな音。それが聞こえた瞬間。小頭はやばいとおもった。だから慎重に丘を滑り降りてたわけだけど……


「ごめん!」

「きゃああああああああ!?」


 そういって小頭はお母さんを巻き込んで丘を転げ落ちる選択をした。体中にまとわりつく土と草。それに体に食い込む石が痛かった。下まで落ちると自然と勢いはなくなって止まる。小頭はすぐに状態を起こしてお母さんの心配をした。


「ごめん、大丈夫?」

「え、えぇ。それよりも小頭は?」

「私も大丈夫。立てる?」


 なんとかお母さんを立てようとする小頭。おじいちゃんとお父さんもどうやらあの音が聞こえたと同時に小頭と同じような行動をとったらしく、すでに丘の下にきてた。向こうも転がったせいできつそうだ。

 そしてさっきまで小頭たちがいた丘の上に仏像の妖怪がみえる。


 腕が、嫌な音を出して再び動いてる。その動きはまさに異様。関節を動かない方向に動かしてさらには体全体がおかしな動きをしてる。

 

メキ……メキ……バキバキバキ――となってお腹と胸あたりが隔たれる。そしてそれを支えるのは一本の太い骨。背骨の部分だろう。それが尋常じゃないくらい伸びて、もう仏像? というよりも化け物具合が大きくなった。そしてそのまま、背骨が伸びた分のリーチを生かして、上半身がせまってくる。でもその時だった。


「はあああああああああああああああ!!」


 鬼女の拳が小頭に向かってきてた仏像の妖怪の胸から上の部分を跳ね返した。


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