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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
81/821

80P

「ちょっといいですか?」


(ついに来たか……)


 廊下で声をかけられた野乃野足軽はそんな事をおもった。今はまだ早い時間だ。2時間目に入る前の休み時間。トイレに行って廊下を歩いてるとそう声をかけられた。いや、そもそもがこの存在感がマシマシの奴がトイレでいきなり隣にやってきた時点でなんか嫌な予感を感じてた野乃野足軽だ。


 だってこいつ……桶狭間忠国はとてもデカい。一年でその制服がはち切れそうとか嘘だろって感じだ。そんなやつがわざわざ隣にやってきたんだ。それもトイレをしてる最中にさ……ここで男子トイレに詳しくないやつに説明しておくと、大の方はそれこそ女性と同じだが、小の方は男性は立って出来るから便器が仕切られずに並んでるわけだ。だから男性の方がトイレは効率よく済ませられる。


 けどそこそこ間隔が狭いから、空いてるなら、一つくらい間隔あけて小をするものだ。けど、そのときは何故か野乃野足軽がしてる最中にわざわざ隣に……一つ開けずに桶狭間忠国はやってきた。


 そしてその大きな体で肩がぶつかりあいながらやった。その時の桶狭間忠国の支柱の様な体と来たら……まさにその体は剣……ではなく鉄だった。なんか嫌な予感がしたからそそくさと野乃野足軽はトイレから出て、逃げようとしてた所に声をかけられた。


 さて、ここで無視をするのは簡単だ。なにせ野乃野足軽と桶狭間忠国には面識がない。クラスメイトでもないし、ただの同学年ってだけだ。同じ階で何回かみてる程度……それならその「ちょっといい」が自分のこと……とは思わなくても不自然ではない。


 だがここは反応することにした。なにせ、今一番危険人物がこの桶狭間忠国だからだ。懐に入り込んで、どうにか出来るなら……それがいいと判断した。こんな筋肉だるま……本来というか以前の野乃野足軽なら怖く仕方なかっただろう。


 でも今は力があるから、もしも暴力沙汰になってもどうにか出来る……という自信が野乃野足軽にその選択肢を取らせた。


「なにか?」


 なるべく平静を努めて野乃野足軽はそんな風にいった。桶狭間忠国はその体には不釣り合いなグルグルメガネをしてる。何を狙ってるんだ? そんなのしてもお前はガリ勉には見えないぞって思う。


 いや、実際桶狭間忠国はガリ勉ではある。なにせ以前なら学校にいるときはその席から離れることはなかった。ずっと教科書……それだけじゃなく、図書室やら図書館からいろんな本を借りてきて、果ては動画やなんやらで知識を貪欲に吸収してるやつだった。


 クラスメイトとも全く話さない。正しく真のボッチと言えるやつだ。ならこんなムキムキなのはおかしいが……でもこいつは座りながらも筋トレしてると野乃野足軽は気づいてた。


 普通は気づかないだろう。だってちゃんと椅子を使ってるように見えてるし。けど実は桶狭間忠国は椅子に座ってなんか居なかった。椅子から数ミリ、尻を浮かしてる。しかも常に……だ。頭おかしい。


 知識と……そして筋肉に貪欲な奴。そしてそれは度を超えてるのはこいつの普段の行動……そしてこの鍛え上げられた肉体をみればわかる。そしてそんな度を超えた行動の中に『恋』が入ってきた。


 それはそれはおかしな事をするのは当たり前だろう。この桶狭間忠国という人間はそれをおかしな行動とは認識してないと思われる。だからこそ……


(こいつは俺が止める)


 ――と野乃野足軽は覚悟を決めていた。

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