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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十八話Part4

「お父さん! このっ!」

「まて小頭! 儂が!!」


 悲鳴を思わず上げてしまった小頭だったけど、すぐにここで妖怪と対峙してきた者は自分しかいないんだと、そう思いなおした。それによって小頭はその妖怪に向かっていく。そしてそれに慌てて続くおじいちゃん。

 けどもちろん小頭は自分が非力な一女子中学生であるって事を忘れてる訳はない。頭に血がかっと上ったが、頭の中では「自分が勝てるわけない」――と冷静な声がきこえてた。

 だからこそ、走りながら視線は周囲の地面に向いてた。そして手近な大きさの石を手に取って――


「こんにゃろおおおおお!」


 ――と罵詈雑言を燃料にするように石を投げた。そしてその石は、その罵詈雑言が良かったのか、めちゃくちゃなフォームの割にはちゃんと前に飛んでくれた。けど……


カツン――


 そんな空しい音が響いて、小頭が投げた石は地面に再び落ちることになった。


「上手いぞ小頭、よくやった!」


 別になんのダメージもその妖怪には入ってないようにしか見えない。けどおじいちゃんは褒めてくれる。きっと孫のやったことならなんでも褒めるのだろう。おじいちゃんは孫バカだった。でも状況はちゃんとわかってるらしく、小頭の前におじいちゃんは立つ。小頭を自身の体で遮るようにして目の前の妖怪をみる。

 そいつはおかしかった。いや、妖怪なんて皆おかしいだろう。でもその妖怪は形がなまじわかるだけにおかしい……とか、不気味だ――とかを強烈に抱かせるような、そんな奴だった。


 奴は見た目大仏とか、阿弥陀如来的な、そんな仏像めいた感じがある。座った仏像だ。片腕を天に掲げて、軽くあぐらをかいてるようなそんなポーズをとってる。けどそこで違和感がすぐに来る。

 なぜならその仏像の頭は……頭があるべき場所になかった。ならば喪失してるのか? といえばそうじゃない。奴は、自分の頭に腰かけてるんだ。まるで神……いやこの場合は仏だろう。

 それを侮辱するためにそうしてるかのような……踏みつけて、足蹴……いやこの場合は尻蹴? にして尊厳を侮辱するためにそうしてるかのようだ。

 小頭は別にそんなに信心深い方じゃない。現代っ子よろしく、自分がどこか宗教に属してる……なんて思ってない。お盆にはこうやって田舎に来たり、墓参りをするけどクリスマスだって普通に祝う……そんな普通の日本人だ。

 けど、そんな信心深くなくても仏さまを足蹴にしようとは思わない。それを堂々とやってのけてるのこいつは……この妖怪はなかなかにヤバそうだと思った。


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