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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十七話Part5

「落ち着きなさい小頭」


 そういってポンッと小頭の頭に手を置いて優しくなでるお父さん。そんな事をされたら焦ってた心が強制的にでも落ち着いてくる。これがと父親の包容力って奴か……って小頭は思う。実際いつもはそんなに接触を許してるわけじゃない。

 だって小頭も中学三年生だ。反抗期真っ只中と行っても差し支えない時期だろう。実際小頭の反抗期はそんなに激しいものじゃなかった。世に言う――


『お父さんの洗濯物と一緒にしないでよ!!』とか

『お父さんの入った後のお風呂になんて入れないよ!!』とか

『まじキモ! 話しかけんなハゲ親父!!』


 ――とか、そんな事を言って罵倒する。なんて世に言う反抗期のテンプレート的な行動を取ってたわけじゃない。小頭の反抗期は可愛らしいもので、昔よりも話す事をしなくなったとか、返事がそっけなくなったとか、積極的にいかなくなったとか……そんなくらいのものだった。

 別に挨拶されたらし返すし、話しかけられたら「ああ」とか「うん」で返すくらいだけど会話だってしてた。まあけどここ数年はちょっとお父さんを避けてた自覚はあったわけで……久々にお父さんの手で撫でられると、安心してしまう小頭がいる。


 小頭のお父さんは優しい。怒ったところなんて見たことない。いや、足軽にはあったかもしれないとかおもうけど、すぐには思い出せないくらいだ。


「でも……この可能性を伝えないと」

「それを小頭がする必要はないよ」

「でも!」

「僕が行こう」

「え? ……お父さんが?」


 びっくりである。そして小頭の視線は自然と下っ腹に向かう。そこには日々のストレスと仕事、そしてアルコールで蓄積された脂肪が見える。まあ要するにお父さんはビールっ腹って奴だった。

 それにお父さんが運動してる所なんて小頭は見たことない。小学生の時に運動会の保護者リレーに出た時だって、かなり悲惨な結果になってた。それがあまりにも惨憺たる結果だったから、あの後しばらくは怒って口を利かなくなったほどだ。


 そんなお父さんが小頭の代わりに? 


「えっと無理しないでいいよ?」


 娘にそんな風に言われて黙っていられる父親がいるだろうか? いやいない!! とお父さんは決意をみなぎらせる。


「いいや、小頭に行かせるわけにはいかないよ。これは男の……いいや、父親の役目だ」


 優しくも、けど力強いそんな声でお父さんはそういった。けどその時だ。


「いいえ、私がいくわ。この姿なら心配いらないでしょう?」


 そういったのは小頭の知ってる『幾代』となったおばあちゃんだった。

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