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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十四話Part7

『男をみせんかい!! このバカモンが!!』


 どこからとも無く野々野国人に聞こえたその言葉。周囲を見回しても、当然だけど親父はいない。いるわけがない。だってここはそもそもが婚約者のマンションだし、流石にそこまで親父はしらない。

 じゃあ今の声と衝撃は何だったのか? 


(気の所為?)


 いや違う……と野々野国人は思う。だって今もなお頭がズキズキする。外から殴られた痛みだ。内側からズキズキとするような……そんな痛みじゃない。だから実際、外側から打たれたんだろう。

 そう考えるしかないんだが……けどそんな事はありえない。だって親父はここにいないのだから。わからない……野々野国人はわからない。けどその時だ。この部屋の奥……そこに人影がみえた。

 そこはいくら暗くても女の子が一人暮らししてるマンションの廊下で……部屋に続いく通路なわけだ。だから間接照明的なものがあった……筈。どうやら婚約者は部屋を暗くしてたみたいだけど、それでも……それでも最低限の照明ってやつはあるだろう。

 でもおかしかった。今……野々野国人に見えてるのは、真っ暗な空間だった。部屋の中は真っ暗で……その中に二人の人物が浮かんでる。それは男の子と女の子だ。二人は手を繋いでる。

 兄妹……だろうか? でも婚約者にあそこまで年が離れた兄妹がいるなんて聞いたことない。ならば……婚約者の子ども? そんなことになったら大事件で有る。けど野々野国人にはなんとなくその子達の正体がわかってた。

 二人はまだ十歳も満たないような小ささにみえる。二人は仲いいような兄妹に見える。手を繋いで、お兄ちゃんと思える男の子と妹である女の子が互いによりそってる。そしてその視線……それは野々野国人を暖かく見守ってる用に思えた。

 初めて見る子どもたちのハズだ。でも……全然他人に思えない。それに二人のその兄妹には野々野国人の面影と、そして婚約者の面影がそれぞれみえる。だからすぐにわかったんだ。

 きっとあの子達は……



(俺達の……)


 未来……がそこにあった。確かな未来だ。普通ならただの幻覚とかと思うだろう。でも、どうしてか野々野国人には確信があった。あの子たちが自分と婚約者の子どもだって。再び婚約者をみる。震えてる彼女を今度は肩を掴んでガバっと引き寄せた。そして強く……強く抱きしめる。


「信じてくれ。絶対にもう裏切ったりしない。幸せにする!!」


 そう婚約者の言い放った。婚約者は顔を挙げない。けど……その腕が体に回って強く抱き返してくれた。それだけで国人には十分だった。あの子たちは未来だ。野々野国人達の未来……暗闇に浮かぶ子どもたちをみる。その姿が成長してどちらも己や婚約者を彷彿とさせるような見た目によりなった。

 そして二人の子どもたちも安心したように微笑んでた。

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