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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十四話Part4

「国人君!」


 野々野国人は婚約者と久しぶりにあった。本当なら結婚式に向けて密に連絡しあって、必要な時に会っておなじ目標である『結婚式』――に向けて歩いてないとおかしい。でも二人とは久々にあった。それこそ二週間ぶり……くらいである。だからこそ、会ったときに飛び込んできてくれたことが、野々野国人的にはうれしかった。

 だってそれだけ国人を婚約者は求めていた……ってことじゃないか。それだけ国人の事を恋しく思ってたということだ。婚約者は国人の胸で泣いてる。久しぶりに見た彼女はなんだかやつれてる? それにこの雨と強風の影響をもろに受けたのか、かなりその……見た目がボロボロになってた。二人が再開したのは彼女の一人暮らしのマンションである。

 その恰好で外にでも出てたのか? と思うくらいにはなんか濡れてるし、なんか髪も梳かしてる感じはまったくない。家にいたんじゃ? と思ってしまうが、今は「よしよし」とするのがきっと正解だろう。だから胸に飛び込んできた婚約者を野々野国人は優しく玄関前で慰めた。


「遅くなってごめん。あえて……そのうれしい」


 もう会えないと思ってた。だからこうやって呼び出してくれて野々野国人はうれしい。それを伝えた。だってそれは本心だから。それに会いたいと思ってくれたのなら、きっと婚約者にも後悔とかあるのかもしれない。だからまだ希望はあるだろうと思った。二人は婚約者だったからってもう、それに甘えるのはやめようと野々野国人は思ってる。ちゃんと伝えたいことを伝える。


 そのチャンスが今なんだ。これが本当に最後のチャンスかもしれない。だからしっかりと会えたことが『うれしい』と伝えた。そんな国人に対して、婚約者の彼女の返答は何だったのか? いや、返答なんてなくてもよかった。ただ頼ってくれたんだから、抱きついくれたんだから、彼女が安心するまで、別に何を言われようとも国人は付き合う気概がある。


 彼女の腕が野々野国人の腰に回る。そしてより強く頭を押し付けてくる。なぜか濡れてる彼女だから、そんな風にされたら野々野国人もぬれるが……そんなの気にしてない。


(きっと彼女は人恋しいのかもしれない)


 そう判断した野々野国人は同じように強く婚約者を抱き返そうとした。もちろん男女で力の差がある。だから彼女が痛くないように力加減をして……だ。けどその時だった。思いっきり頭をうずめてた婚約者がなんかぽつりといった。


「匂う……」


 それを聞き取ることは野々野国人にはできなかった。だから「うん?」――と優しく聞き返す。すると今度はもっとはっきりと、そして責めるような口調で婚約者はこういった。


「ほかの女の匂いがする!」


 その心当たりが野々野国人にはあった。

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