表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
78/822

77P

「さて……どうやってあの筋肉だるまを大人しくさせるか……」


 野乃野足軽は無事に午後の授業を受けてる最中に、そんな考えをしてる。授業を聞くのも大切だが、最近は頭の中でアースと喋るってことを日常的にやってるから、頭の中では喋りつつ、ちゃんと意識を別の方向にむけるって事ができるようになってきてた。


 なるべく真面目に授業を受けて悪目立ちしないように……そういう風にしてる。どこで変な噂がでるかわかったものじゃない。それにこうやって授業中は色々と力の訓練にもいい。なにせ皆がいつも同じ場所にいるのだ。


 翌々考えたらこれって人に対して使う力の練習になる。それこそサイコメトリーとかね。別に学校として中堅程度の学校だが、野乃野足軽のクラスには手のつけられない不良って奴らはいない。だから皆、真面目に授業をうけてる。


 そんな彼らに対して、色々と実験をしてるわけだ。まあけど今は筋肉だるまこと桶狭間忠国をどうするか……というのを話し合ってる。どうしたらあいつがおかしな行動をやめるか……それか平賀式部の事を諦めるか……


(思い切って振ってもらうのはどうでしょう? 中途半端に思ってるのが対象の暴走を引き起こしてるのだと思います)


(まあ確かに……けどある意味で現実を突きつけるのって残酷だぞ? その結果、引けばいい。でも……さ)


(なにか懸念が?)


 野乃野足軽はちらっと隣の平賀式部をみる。最近はよく目が合う訳だけど、今回はそんな事なかった。彼女は真面目に教師の方をみてる。そしてタブレット用のペンを唇におしつけてた。その光景に見惚れる野乃野足軽。


(ペンになりたい)


 そう思った。ペンの背の部分が平賀式部の唇を押し付けてる。その柔らかく、そしてプルプルしてそうな唇を……だ。男子ならそう思っても仕方ないだろう。そしてやっぱり……と野乃野足軽は思う。


(いや、あの筋肉だるまは異常な考えをしてるわけじゃん。それだと本当に引き下がるか? 俺たちには考えられないような曲解をする可能性だってある。そうなった時、今はあんまり接触してないあいつが平賀さんに接触してきたら危ないだろ。


 愛憎っていう言葉があるくらいだし……愛が憎しみに変わったらやばいかなって)


(なるほど、人間は複雑ですね)


 アースはさほど興味もなさそうである。ただアース的には平賀式部はどうやら美味しいものをくれる人……って感じらしい。だから居なくなったら困るから、協力してくれてる側面が強い。


「ふう……」


 野乃野足軽はちょっと疲れたような息を吐く。それはこの教室にまんべんなく力を流してたからだ。


(随分成れてきましたね)


(最初はどれだけの事をさせるのかと思ったよ)


(ですが有効でした。貴方がこの場所で空気の様な存在だったのが不幸中の幸いでしたね)


(それは俺のこと貶してる?)


 そんなやり取りしながら「否定はできないけど」とか野乃野足軽は思ってる。何をやってたのかというと、このクラスの中の生徒達にちょっとした暗示を掛けてたのだ。流石に洗脳とかはまだまだできそうもないし、この人数は無理だろうが……アースが言う通りに印象が薄いことって案外適当に脳は記憶してる。


 そうクラスであまり目立たない野乃野足軽はクラスメイトたちに意識なんてされてないから、よく顔も覚えてもらってないというか……そのおかげで案外これが上手く言ったと言って良い。


 


 今昼休みには二人は一緒に食事を取ってる。ということは二人でこの教室に居ないわけだ。二人が同じ場所に居るところは見られてない。けど二人して教室に毎回毎回居ないというのはどうか……とおもったわけだ。勿論居ないのは二人だけではない。でも大体クラスメイトたちって仲いい奴らは食事をどっかでしてるわけで、アリバイって簡単に証明できる。


 でもアルバイが証明できないのが平賀式部と野乃野足軽となると……疑われるかもしれない。だからクラスメイト達の表層の意識をちょっとだけ操作して、「ああアイツ? そういえば見たような?」って感じの曖昧な印象を昼休みの時間帯に植え付けてる。


 これでもしも誰かが探ってたとしても、野乃野足軽を見た……という証言がとれる。実際、見てはなくても、場所は特定してないし、たまたま見たを積み重ねれば、平賀式部とは違う場所にいたんだってなるだろう。


 それでいい。だからこうやって表層の意識にその曖昧な印象を授業中にうえつけるという作業をここ一週間くらいやってた。


 今やもう手慣れたものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ