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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十話Part3

「野々野お前な! 人を介抱してたからって遅刻して良いわけじゃないんだよ! それでも間に合うように来るのが社会人ってもんだろうが!!」


 改めて次の日。今日はちゃんと出社できた野々野国人。けど朝っぱらから国人は上司に呼ばれて怒鳴られてた。ちゃんと会社にはすぐに報告をしてた。人命救助……それは誰もが納得できる理由のはずだ。だから許される筈……けどそれはどうやらちゃんとした会社だったら……ちゃんとした上司だったら……という前提があったみたいだ。

 野々野国人が入った会社は世間ではいわれる所の『ブラック』と呼ばれる部類の会社だったらしい。最近は世間の目、そして行政の目も厳しくなってきたからそういうブラックという会社はへってきたのかもしれない。でも……根絶できたわけじゃない。

 いや社会構造的に、そういう会社が一切なくなる……なんてことはないだろう。そして運悪く野々野国人はそんなブラックにあたってしまったのだ。課せられる理不尽なノルマ、朝一の出社から、帰られるのは毎日日をまたぐギリギリ……そして残業代はちゃんと支払われない始末である。

 更にはこの上司のように無闇矢鱈に怒鳴ってくる上司。褒めるなんてことはない。何をしても粗を探して……いや、あらがなくても粗を作り出してガミガミと言ってくるのがこの上司だった。


 まともじゃない……とわかってたのに、それでも人命救助なら……と国人は思ってた。けどそんな『常識』はこの会社では通用しないのだ。ガミガミと無駄な事を言い続ける上司。そんな時は心を無にする。この会社にきて野々野国人が身につけたスキルの一つだ。

 眼の前のやつを人間と思わないのも大切だが、こんな意味のない言葉をただただ受け止めるなんてしてはいけない。国人も最初はそれこそ自分に悪い事があるのかもしれない……と思った。なにせ国人は新人だ。

 そして上司は当然の如く何年もこの仕事をやってるわけで、一家言ある……と思ってしまうのは新人としては当然のことだろう。けどそれも半年も経てばこの人の言葉にはなんの意味もないなんてわかる。

 だからこそ、心を無にする。自分が怒られてる……なんて思わない。そうやって自分自身の心を野々野国人は守ってた。


「はぁ……」


 昼食時、外回りにでてた国人はコンビニで買ったおにぎりを食ってた。ただでさえ低い給料なのだ。確かに結婚式の費用は双方の両親が出してくれる。けど、結婚したら何かと入り用になるわけで、結婚するときの結婚指輪とかだってある。

 ならば無駄遣いなんてしてられない。なるべく切り詰めていかないと行けないわけで、普段からの節約は大切だ。だからおにぎり一個。それにお茶。それで飢えをしのいでた。そんな折、スマホになる通知。見てみると、それは昨日の……そうあの具合が悪かった女性からの連絡だった。

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