???話PartD12
ここの力と親和性を持たせた方の左手て払ってできた道。そこを野々野足軽は進んで再び界域の流れへと戻る。そして次にやるのは奴……いや奴らの力を探る事だ。それが出来るのか? とか思ってたが、なぜか結構簡単に出来た。さんざん奴らとは戦ってきた野々野足軽だ。
だから……と思う事にした。今は細かな事を考えてる場合じゃない。敵の力をたどっていくと、大きくだけどしなやかで力強い、岩の胴体がうねってるのが見えた。それはこの界域でも、どもまでもどこまでも続いてるようにみえる。もしかしたら元の野々野足軽のままならその強大さに心がおられてたかもしれない。それだけの力を感じる。それに数えるのもおっくうになるほどの数なのだ。あれが向かってるのは間違いなく野々野足軽の……ではなく、野々野足軽が入れ変わった彼女たちの世界。あれだけの岩の蛇があの世界に押し寄せてるという事だ。
一刻の猶予もない。そう思った野々野足軽は一回左目を閉じた。そして確認する。野々野足軽の左半身に繋がるこの界域の力を。そして目を開けた――と、同時だった。
キィィィィィィィキュイン!!
そんな何かが収束する伸びた音。そしてそれが激した音が響く。一瞬で、野々野足軽の左目の視界はなくなった。それと同時に、右目に入ってきた激しい光で右目も見えなくなった。
「ぬあああああ!?」
思わず頭を振るった野々野足軽。なにせ左目は痛いし、右目も見えなくなるし……びっくりである。欠損した時もなかった痛覚が野々野足軽に押し寄せてきてた。まるで目に焼き鏝でも突っ込まれたような……やられたことはないが、そのくらいの痛みであった。
とりあえずダメージを受けてるのは左目だけで、右目は光を受けて一時的に見えなくなってるだけだと判断。左目に例の力を集めて「治れ、治れ」――と念じた。その間にも視界を念視で確保して何が起きたのかを確認することにした野々野足軽。すると彼が見たのは、あれだけ頑強そうな岩の蛇がいずれも無残に焼き切れてる光景だった。
「え?」
思わずそんな声が出る。けど野々野足軽の左目のこの痛み……そして見える光景。念視だから近寄るのも角度も自由自在だから色々な角度で検証。やっぱりどう見ても中から破裂とかした……みたいには見えない。なにかに焼き切られた……みたいな? という事はきっと野々野足軽の左目が暴発した……としか考えられない。信じられないけど、きっとそうなんだろう。
「ええー、これから左目あけていいのか?」
今も野々野足軽の左目には例の力が集まってるのだ。ちょっと怖い。