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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十九話part5

 どういうのが正しいのだろうか? 誰にだって伝えにくい事って事はあるだろう。おばあちゃんにとっては孫の足軽がこの世にもういない事……とっても遠くに行ったという事……それを伝えるのはとても心苦しいものだった。

 それにその原因が自分のせい……とも言えるとなるとなおさらだろう。おばあちゃんはきっと過去を清算しようとしてた。別にそれはおばあちゃんの罪ではないだろう。けど、人には逃れらない過去というのがある。

 子供には親を選べない。そして生まれる場所も……いくら後悔したって、それはやり直しは出来ないのだ。それをやろうと思ったら、それこそ一度『死』を選択するかしないだろう。けどそんなのは普通は現実的じゃない。

 死を選択するしかない生なんて……そんなのは地獄でしかない。


「遠い世界? それは足軽はもう……」


 おじいちゃんが震えてた。それに対してやっぱりおばあちゃんは「ごめんなさい」としか言えない。真実をいった……確かにおばあちゃんは『真実』をいったからこれ以上は必要ないと思ったんだろう。てか言いづらいことだし、それはしかたない。けど……


(あれ?)


 なんか……そうなんかちょっとズレてるような、そんな気がした小頭である。遠い世界……それを言われたら普通は……そう、『普通』はどうとらえるだろうか? と考える。


(おばあちゃんの沈痛な顔、それに『遠い世界にいった』――という言葉……それを聞いたら普通はどう考える? 普通は……そう、普通はあの世って思わないかな?)


 それに気づく小頭。小頭も、そしておばあちゃんもここ最近、不思議な事に触れてた。だからこそ、鬼男の存在やらその言葉で、足軽の生存をうたがわなかった。だって鬼男が替わりにこっちの世界にいるというんだ。小頭やおばあちゃんは――


『そういうものなんだ』


 ――と受け入れることができた。けど……そう、それは普通じゃないのだ。おばあちゃんもそして小頭も変化しつつある世界にある程度順応することできてる。けど、おじいちゃんはそうじゃない。そもそもがこんな田舎ではそんな力での出来事はまだ真実なんて思ってる人の方が少ないくらいだろう。

 ネットも田舎にまで普及してきてるといっても、流石におじいちゃんくらいの人達はそこまで使いこなしてる訳もなし。だから力を信じてない人は多い。おじいちゃんだって、そうだ。鬼男という異常が目の前にいるが、流石にこれを本当の『鬼』とは思ってない。

 だからこそ、遠くに行った……というおばあちゃんの発言。それをおじいちゃんこう捉えてるのでは? と小頭は考える。


「足軽はもう亡くなって、この世にいない」


 ――と。それはおじいちゃんとおばあちゃんの致命的なズレ……にならないだろうか?

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