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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十九話Part1

「ここは……」

「わしゃたちは……」


 テーブルに突っ伏してた小頭のおじいちゃんとおばあちゃん、その二人が意識を取り戻した。二人は同時に目を覚まして、そして同じように頭をふって、バチっと目が合った。すると、なんか初々しい感じで視線をそらした。


「フン!」


 そんな風に鼻を鳴らすのはおじいちゃんである。そしておばあちゃんはそんなおじいちゃんを見て、クスクスと呆れたように微笑んでる。そしてそんな二人を幾代は台所に入る所に立ってみてた。その後ろには鬼男もいる。

 鬼男はグスッ――と鼻を鳴らした小頭の頭に手を置いた。そして頭をグワングワンとしてくる。きっと頭をなでなでしようとしたんだろうという事は小頭にはちゃんとわかってる。わかってるけど、不満を表明する権利はあるはずだ。

 なので小頭は背後にいる鬼男の脛をゲシゲシとけってる。けど大木かこいつ? ってくらいに微動だにしない。


「よかった本当に……」


 小頭はふとそんな風につぶやく。おばあちゃんとおじいちゃんが戻ってくると、家……が戻ってきた。おじいちゃんとおばあちゃんの家……田舎の一軒家。どこまで戻ってきたのかはわからないが、少なくとも今二人がいる食卓と小頭達が立ってるところは戻ってる。濃い霧が出てきた時、全てをこの霧が飲み込んでいった。

 それですべてはこの霧に飲み込まれていったんだ。でも、今……ちゃんと私たちはこの家……に戻ってきた。え? 自分たちの夢から脱出した時に、既に戻ってたんじゃないのか? そんな声があるかもしれないが、二人はそうじゃなかった。小頭も鬼男も自身の夢からの脱出の後、ただ目を覚ました訳じゃない。


 他の夢に混線したのだ。鬼男が幾代の夢に行ったように、二人はおばあちゃんとおじいちゃんの夢へと行ってた。鬼男と小頭の時はそれこそ直接的な接触があったから、そんな混線が起きたのもおかしくなかった。

 でもおじいちゃんとおばあちゃんのどっちかに小頭か鬼男の肉体が触れてた……という事実はない。ならばどうやって小頭達はおばあちゃんたちの夢へと入ったのか。そこはやっぱり鬼男の鬼としての知識と力……それに頼ることになった。彼……がいたから二人は混線出来た。

 そして夢の中で色々と併走した。それが良かったのかどうかは正直よくわかんないというのか小頭の本音だ。思わず二人をくっつけた感じになったが……この夢はいつまでも夢の中にいたい……と思わせて夢に押しとどめようとするの事に、どうやって抗って夢から覚めるか……だったはずだ。でもおじいちゃんとおばあちゃんは上手くやれた。やってしまった。

 けど……二人は目を覚ましてる。


「えっと……二人の仲は上手くいったよね? なんで二人とも夢から覚めたの?」


 二人が目を覚ました事は嬉しい。辛い事なんてなくなった。ならば幸福な夢――を選択するのが人じゃないのか? けどおじいちゃんもおばあちゃんも戻ってきた。この現実に……それが小頭はわからない。


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