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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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幕間 幾代

 私の村は呪術師の村と呼ばれて忌避されてました。最初はそれが、その事実が何なのか自分にとってどんな影響があるのか、わかってませんでした。でも、少しずつ、物心ついて、村の外の人と関わるようになってそれがわかりました。小さい時、それこそ保育園とかに通う年齢とかの時は、ずっと私達、あの村の子供たちは一切外に出る事はありませんでした。あのお城のよう大きな建物の内側に形成されたいくつかの家があるだけの狭い世界が私たちの全て……


 でも学校……小学校に通うようになる前に少しずつ世間というのを知るようにと教育が始まりました。最初に言われたのが――


「外の人たちは真実に騙された可哀想な人たちなのです」


 ――という事です。真実……が何かは子供たちには教えてくれません。ただ真実とやらを知ってるこの村の大人たちは凄くて偉いのです。そしてそれを受け継いで行けるこの村の子供たちも偉いと教えられます。なので外の子供たちとは違うのだと……けど見下すとかは違うらしいです。話をして仲良くなる……そしてこの村の教えを広めていきなさいと言われるです。

 その時は私も元気に「はい!」と花月様に返事をしてた記憶があります。小学校に入学が近づくと幾人かの引率を伴って外――を体験する為に村の外に出ることがありました。引率の村人たちと共にとりあえず近所の森……といっても、この村事態が森の中に、山の中にあるような場所です。一つの道からそれたらそこはもう森です。

 だからまずは人との交流というよりもきっと外の空気を知らせるための行動だったのでしょう。だって生まれてからこの方、私たちは外に出たことがなかったから。それに村は壁に囲まれてましたし。だから初めて、壁がない外はどこまでも広いと思いました。だからきっとワクワクしてたんでしょう。

 私はいつの間にか森の中で一人でした。大人たちも気にかけてるといっても、やっぱり森の中では視界が悪いです。そしてまだ小学一年生にもなってない子供は小さいのです。ふと、どこかにいってもしょうがないでしょ。まあこっちには大迷惑ですけど。


「うぁーーん! うぁーーん!」


 そんな風に泣きながら森を歩いてたと思います。だって悲しくて、怖くて……感情があふれてきてしまったのです。そんな時です。ガサゴソ……と草むらが動いて私はピタッと足を止めてしまいました。だって大人たちから、森には危険がいっぱいだと教わってました。だからどんな危険がくるのか? と思って体が膠着したのです。でもそこから現れたのは……


「なにやっとんじゃお前?」


 それは自分と同じくらいの男の子でした。それが私たちの出会い。でもきっと彼はそんな事覚えてないでしょうね。私はいろんな事を教えてもらいました。外の事……村がどう見られてるのか……とか。この出会いがあったから私は……私はきっとあの村に染まりきらなかった。



「なにやっとんじゃお前?」


 そしてまた、きっと来てくれる。


「行くぞ」


 手を取って……私は連れ出してくれる。

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