表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
73/822

72P

(何故……)


 そんなことを彼桶狭間忠国は思ってた。ここは誰も近寄らない……というか存在を知ってるのか微妙な予備室とかいう部屋だ。そこにたまたま昼休みに平賀式部が入っていくのを桶狭間忠国はみた。


 そうたまたまだ。昼休みになった途端に席からたち、廊下の角で平賀式部が出てくるのを待って、たまたまその後ろを尾行したとしても、たまたまだと桶狭間忠国は言い張るだろう。


「もしかして教師と生徒のただならぬ……」


 予備室とかいう部屋に入ってく平賀式部を見て、そんなことを口ずさむ桶狭間忠国。なにせ彼女はこれまでは自分の席で小さな弁当を啄むように食べてた。だからそんな光景を絵画のように目にやけつけるだで桶狭間忠国は幸せだったんだ。


 だが最近、ここ一週間くらいから変わった。平賀式部は昼休みになるとお弁当と水筒を持ってすぐに席を立つようになってしまった。その衝撃やたるや……それは本当に突然だったんだ。


 その日もいつものように桶狭間忠国は授業の終わりと共に静かに立った。鍛えて、そして精神の乱れもない桶狭間忠国の行動には最小限の音さえ出ない。だから素早く椅子を引いても、スゥゥゥとまるで床に何か敷いてる? って感じで動く。他のクラスメイトたちがガタガタと椅子を鳴らす中、音もなく桶狭間忠国は廊下に出て、歩くついでにチラッと隣のクラスを見る。


 その日は隣のクラスの方が先に授業が終わってた。でも問題なんてない……いつも彼女はそこにいる。まるで道路に咲く一輪の花のように常にそこにいて煌びやかな空気を醸し出してる。淀んだ街の空気を浄化してるかのように咲く一輪の花が彼女だと信じてる。


「なん……だと?」


 けどその日は違った。いなかった……彼女平賀式部はいなかったのだ。そしてその日の昼休み時間いっぱい狭間忠国は常に彼女の席を見てたが、昼休みが終わるまで帰ってくることはなかった。それに……


(機嫌が良い?)


 傍目には平賀式部はいつも通りだっただろう。彼女は何時だってきれいな顔を一ミリも動かさない。でも桶狭間忠国は気づいた。なにせ彼はいつも、いつだって見てる。そして考えてる。想ってる。だからこそ気づいた。それこそが愛だと彼は思ってる。昼休み終わり、自然と彼女とすれ違う。その時にわずかだけど、機嫌が良い匂いがした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
機嫌の良い匂い?パラメーターキモさに全振りした、 竈門炭治郎みたいなやつだなww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ