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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十七話Part7

「あれ? くそ! このボロ小屋が!」


 うっすい壁を一枚隔てた向こうからそんな声がきこえてくる。ガタガタガタガタ――そんな音を立てて扉は揺れてる。一生懸命に小屋の中の二人は息を殺してる。けど……このままいったらあの建付けの悪い扉は開くだろう。

 そうなると……少年も幾代も彼らに見つかってしまう。そうなるとどうなるのか? 簡単だ。幾代は村に連れ戻されてあの変な儀式に使われるだろう。それでどうなるのか? は少年にはわからない。でも……無事で済むわけがない……という確信はあった。この地域の大人たちは子どもたちに無闇にあの村の事は言わない。

 けどあの村が異常な事は子どもはなんとなく大人の態度でわかってる。それにあの村に対する噂は子どもの中でも色々とあったりする。あの村の子どもは少年と同じ小学校に通ってるわけだけど、その小学校ではこんなまことしやかな噂がある。


【あの村の子供は学校を卒業する前に消える子供が数年ごとに出てる】


 そんな噂である。数年ごとが味噌で六年間ある小学校だけど、その噂の真実はよくわからない。でもそれは高学年と低学年の隔たりとか……そんなのがあるんだろう。それに年が隔たってそんなのがあると、ちゃんと伝わっていかないし、人の口から伝わる噂と言うのは、色々と尾ひれだってつくだろう。

 だからこそ、噂。噂止まりで本当かどうかはわからない。けどそれでも、長年あの学校ではそんな噂が語り継がれてる。それがもう不気味だろう。ちゃんと調べれば消えている子どものこともわかるかもしれない。でも小学生がそんな事をすることはない。それに好奇心が強い小学生でも、やっぱりあの村に関わるのは……という恐怖心があるんだろう。なにせここらあたりではそういうふうにずっと言われるから。つまりは……


(見つかったらもうこいつとは……)


 そんな思いが少年に湧き上がる。ガタガタガタガタと揺れる扉が僅かに開いて月明かりが差し込んでくる。そして……


「おっ、あとちょっとだな」


 そういってその隙間から大人の大きな手が差し込まれた。


『もう駄目だ』


 ――そんな考えが二人の脳裏によぎる。こうなったら開いた瞬間に飛び出てタックルをかまそうか? と少年は考えた。でも相手は複数だ。一人を転ばせることが出来たとしても……それ以外はどうしようもない。なにせ相手は大人だ。でも何もしなかったら……幾代は連れ戻される。

 だから迷ってる時間はなかった。扉がついに開く。


「駄目……」


 か弱い声が後ろから聞こえた気が少年はした。でもそれには従う事はできなかった。少年は大きな声を出して自分を奮い立たせて扉を開けた大人へと飛びかかってた。


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