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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十七話Part5

「えっと……ごめんなさい。ううん、まずはこれだよね。ありがとう。本当に……嬉しかったです」


 そんな風に幾代は少年にいった。その言葉に、少年は最初は反応できなかった。だって、まだ安心できる状況じゃない。助けたけど、助けきれてない……少年はそう思ってる。けど……


「へへ……うへへ」


 なんか変な声が口から出た。それから体もひねったり腹筋運動したり……変な行動をしてる。なぜにそんな事を少年はしてるのか? それはむずがゆかったのだ。なにせそんなに感謝され馴れてない少年。そんな少年は今、まっすぐな感謝を得た。同じ年の、同じ学校の少女から……少年はそんなに異性と遊ぶような性格じゃない。田舎だからえり好みなんてできないかもしれないが、この近くではそもそも異性なんていなかった。学校にはいっぱいいるが、田舎の方でもここは田舎なのだ。


 だから新鮮だった。


「べ、別に。大したことじゃない。猫が来たから」

「猫?」

「お前の飼い猫じゃないのか? 白と黒の……」

「あぁ、あの子たちは野良ですよ」


 そうなのか。最近は常に傍にいるような気がしてたし、幾代だってあの二匹を拒否してなんてなかった……と少年は思う。だからあの二匹は幾代のペットなのかと? 最近拾ったのかな? と思ってた。でもどうやら違うらしい。野良なんだ? でも野良ってもっと言っちゃ悪いが少年は小汚い感じではないだろうか? と思った。

 けど、あの二匹。黒猫と白猫はやけに整ってた。ブラッシングされてそうな艶やかな体毛だった。それに猫なのに、獣臭いってこともなかった。獣は生きてるだけで臭いものではないだろうか? なにせ野生ならお風呂に入る……とかきれいにすることなんてないはずだ。そうなると、におうのは仕方ない。


 でもあの二匹は良いにおいしたし、毛も綺麗だっだ。


「いやいや、あの二匹が野良? 嘘じゃろ?」


 そこは否定したい。色々と助けられたし、あの二匹の勇敢さは意外だった。でも今少年は思い出すと、やけにあの二匹は勇敢だった。それは家猫的ではないかもしれない。だって家猫ってぬくぬくと生きてそうである。少年の勝手な想像だけど……


「あの子たちはよくわからないの。それであの二匹は?」


 キョロキョロと幾代は周囲を見回す。さっきまでの会話であの二匹もここにいると思ったんだろう。でも……少年は目を地面に向けた。そして出しにくそうな声でこういった。


「いない……あの二匹はここには……」


 その苦しそうな声でなのか、幾代は何かを察したようだった。だから別に何も言わない。少年を責めるようなこともしない。でも、空気が重いと少年は感じる。そんな時だ。


 ガサガサ


 ――と、小屋の外から聞こえた。二人に緊張感が走る。

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