第四十六話Part3
「ミャ」
「ニャ」
二匹の猫が暗闇の中、その瞳をランランと輝かせてその居場所を少年に定期的に教えて道を教えてくれる。そうそう、少年はすぐに懐中電灯を袋にしまった。電池を節約してるのもあるが、家から離れるにつれて何やら山が騒がしい……と気づいたからだ。山狩りでもしてるのか? と少年は思った。そしてそんな事をやってる大人たちは提灯をもって三人一組になって山を練り歩いてる。
提灯はそんなに遠くを照らせない。二人が提灯を持ってるからそこそこ周囲を照らしてるだろうが、猫たちが少年をうまく誘導してくれてる。それに大人よりも小さな少年だ。森の中ならちょっと木の陰に隠れるとか、茂みに隠れるとかしたらいい。
それだけで小さな少年は身を隠す事ができる。それに少年は結構細い。がっしりとはしてない。だから結構木々に隠れるのは得意だった。身軽でもある。ちょっと木の上に上がればそれだけで意識外になる。
彼らは猫を追ってるはずだが……上はあんまり意識してない。猫を追ってるとどうしてわかったのかというと……
「はぁ、花月様もよくわかんないけぇ」
「うっしぇえぞ。花月様の言うことはぜってぇ!」
「はよう猫を見つけるぞ!」
そんな会話をしてたからだ。どうやら山狩りをしてまで奴らはこの二匹をさがしてるらしい。
「何やったんだお主ら?」
そんな少年の言葉に対して猫たちは短く鳴いてなんか抗議してきた。いや、言葉はわからない。けど少年はなんとなくそういう気がしただけ……というだけだ。森の中を進んで、森の谷間に隠れされるようにある村が見えてきた。
その村は大きな城のような屋敷があって、それから伸びる外角部分が全ての村の建物を囲んでる様になってる。それができるものをこの村が小さいからだろう。でもそんな様相の村を見て少年は思った。
「まるで誰も逃さないようにしてるようやの」
……とね。でもまさしくそうだった。絆を強く、そして互いに監視し、誰も逃げ出さないように。村のものは全てが共犯者……それがこの村のカルト的なところだった。近づくな……と言われる所以。
奴らの怪しげな実験の材料にされる……そんな風に言われてる。そこに今から行くんだ……と思うと自然と喉が乾く。けど……
「あいつが危ないんじゃな?」
その言葉に二匹が強い視線を向けてくる。この二匹は最近幾代の傍にいた。だからきっとそういう事。ここまで来たら、もう引き返すなんて選択肢はなかった。