第四十六話part2
「お主なぁ~!!」
「ミャ!」
「ぶっ……」
なんとか服と共に白猫を捕まえた少年。両手で白猫を抱えて顔の前までもっていって文句を言ってたら、猫パンチを食らった。別に痛くはない。でも可愛いのがなんか憎たらしい。
「なんで、お主らこれを……あっ、おい!」
今度は黒猫が取り返したTシャツを咥えて引っ張ってる。なんだこいつら? 少年は思った。構ってほしいからやってきたのかと思ったけど……
「やめ……おぬしらこれに何が……いや、待てよ。おぬしら、ちょくちょく最近あいつの傍で見たような?」
二匹の猫に見覚えがあった少年。それに気づくと、二匹の猫がこの服を執拗に狙うその理由に思いが至る。
「もしかしてあいつになにか? この服に残ってるあいつの匂いに反応してるのか?」
そのTシャツはあの日、あの雨の日に一晩育代を止めた時、彼女が着てた服……それがこれだった。帰る時には乾いた元の服を着て育代は戻った。だからこれはあの時のまま……少年が確保してた。
もちろん最初は何をやってるんだ? と思った。でも……知らず知らずの行動だったのだ。日数が既に経ってるから既にあの服から育代の匂いがすることはない。でも……洗えなかった。もしかしたら猫の鋭い嗅覚にはまだあの服に残ってる育代の匂いがわかるのかもしれない……と思った。そしてそれに反応してあの服を求めてる二匹の猫。
何かを伝えようとしてる……と少年は考える。
「何が……あった?」
思わずそんな風な言葉がでた。すると二匹の猫は服から関心がなくなったのか、窓の方にいく。トッ――と二匹は窓から屋根瓦へとでた。そんな二匹を雲の隙間からの月光が照らす。そして二匹で声を合わせてこっちを向いて鳴いた。
『ニャー』
そして屋根瓦を走って屋根から飛んだ。それを見て、少年も服を替えて、袋を持つ。懐中電灯を探して水と芋を袋にいれた。そして靴をはいて、夜の空の下にでた。するとやっぱりいた。待ってる。二匹の猫が少年の姿をみて走り出す。
(やっぱり、あいつに何かあったのか?)
そんな事を考えながら、少年は二匹の猫の後を追う。