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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十五話Part8

「はぁはぁ……はははは……はははははははははは!」

「花月さ――きゃっ!?」


 いきなり笑い出した花月様。そんな花月様はようやくこの泉の浅さに気づいた。そして不意に笑い出した。もしかしたら恥ずかしかったのを誤魔化そうとしてたのかもしない。

 なにせ本当にこの泉は浅いのだ。それこそ子供プールくらいの深さしかない。大人ならもっと安全だ。なのに……である。なのに花月様はいつも澄ましたような美人顔をしてたのに、さっきまで慌てふためいてアップアップとしてた。

 それはそれは恥ずかしいだろう。穴があったら入りたいと思う恥ずかしさだ。でも花月様はそんなやつでなかった。人を使ってきた花月様は自分ではなく、幾代にそれを払わせようとした。

 自分の恥ずかしい姿。それを知ってるのは幾代だけだ。ならば……ならばこいつがいなくなれば……その思いで彼女は自分を助けてくれた女の子の幾代を突き飛ばした。笑ってなんでもないふうに誤魔化しつつ、幾代を突き飛ばしてバシャーンとその場に大きな音が響く。


「花月様……どうして……」


 泉にお尻と手を浸しつつ幾代は自身を突き飛ばした花月様を見上げる。傍では泉の縁のところで猫二匹がニャーニャー! と毛を逆立てつつ抗議の声を上げてる。でも彼らは猫なのだ。猫は水が苦手。なので水まで飛び込んでは来ない。


「とうして? それは、貴方が悪い子だからよ幾代」


 悪い子。そのワードに幾代の呼吸が荒くなる。ヒュッヒュっ――とおかしな呼吸の音。どうしたのかと言うのか? それはこの村の教育の賜物……と言ってもいいのかもしれない。


 悪い子……というワード。それをこの村の子供達は極端に恐れてる。普通に考えたら「悪い子にならないように」――とか「悪いことをしたらいけません」――とかは子どもに言い聞かせる事としては普通だろう。


 誰もが親なら子どもに一度は言ったことがあるワードランキングとかがあるのなら上位に食い込めるポテンシャルはあるだろう言葉。けど、そうじゃない。今幾代はいつかの光景がフラッシュバックして、恐怖がせり上がってきてる。


「悪い子になってはいけませんよ」

「悪い子は〇〇の材料にしてしまいますよ」


 それはこの村の子供達が言われ続ける言葉。そして染み込ませられる言葉。それは教育ではない。洗脳……だった。


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