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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十五話Part7

「たすっ――ガボッゴボッ!? っけ――て!!」


 花月様は暴れてる。豪華な着物はきっと水を含んでとても重くなってるんだろう。だから……だから必死になってる。けどそこにこんな声が響く。


「花月様! 花月様落ち着いてください!!」


 それは幾代の声だ。幾代が目いっぱいの声で花月様に声をかけてる。けど……どうやらパニックになってる花月様には幾代の声は聞こえてないみたいだ。このままではまずい。

 溺れてしまう。幾代だって服を来たまま泉に入った。酷いことを色々とされてたが、思わず助けようとしてしまった。泉にもう入ってしまったんだから、仕方ないから助けようと、もうしょうがないか――と思ってそれをやろうとおもった。

 でも、花月様は幾代の声を聞いてくれない。


「あの! あの、花月様!」


 駄目だ。アブアブとしてる花月様は全く持って幾代の声に耳に傾けることがない。こうなったら……覚悟を決めた幾代はジャブジャブと音を立てて泉を【歩く】――そして花月様のところまで行くと彼女の襟元の着物を掴んで引き寄せる。


(うっ、重い……)


 引き寄せる……と簡単にいったがどうやら水を吸った着物は想像以上に重くて引き寄せる事は難しかった。こうなったらちょっと離れてはいるが仕方ないからそこから幾代は狙いを定めた。そして次の瞬間――


 パァンパァンパァン――


 一回の大きな音が、鍾乳洞の構造によって複数回反響する。これで無理ならもう一回! そんなことを思ってた幾代。でも、花月様にとっても予想外の衝撃だったのだろう。彼女は暴れるのをやめてた。


 何をやったのか、それは幾代が花月様の顔をはったいたのだ。本当は頬を狙ってた。けど、実際は暴れる花月様のせいでそんな正確に頬を狙うなんてできなかった。そもそもが誰かの頬を張ったたたくなんてのも幾代にとってははじめだった。

 だからうまく出来なくてもしかたない。……仕方ないから花月様の顔面を思いっきり殴った格好になったのは許してほしい。それをやった幾代が一番今ビクビクしてる。ほうけてる花月様……今しかないと幾代は思った。


「落ち着いてください花月様。ほら、こことっても浅いですよ」


 そういう幾代。そう、この泉は小学生の幾代の腰くらいしか深さはなかったのだ。


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