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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十五話Part4

 黒猫と白猫、二匹は幾代に寄り添ってた。でも寄り添いすぎたのかもしれない。花月様は瓶を駄目にされて発狂した。逃げた猫たち。そしてその発狂具合が怖くなって、幾代も思わずその場から逃げる。


「待ちなさい! 幾代! いくよおおおおおおおおおおおおお!!」


 そんな声を背に受けながら、必死に幾代は走った。言いなり状態なら、こんな事は出来なかった。今までは、言いなりのふりを続けてた。でもこれで花月様にもすでに薬の効果が切れてるのがバレてしまっただろう。

 だからこそ、もう止まることは出来ない思ってた。鍾乳洞の牢屋の部分までやってきた一人と二匹。でも……


「ニャ!」

「ニャニャニャ!!」


 二匹が木の格子をガシガシとかじってる。でも……いくら鉄じゃないといっても、その木はかなりの分厚さを誇ってる。猫の牙で削れるものじゃない。いや、毎日少しずつ……なら可能性はあるのかもしれない。

 でも今この瞬間にいきなり削られるわけがない。猫たちは牢屋の間からスルッと出ることが出来た。人間は出れないが、猫は出れた。でも当然、幾代の体はネコ程柔軟じゃない。

 格子の間から出れるなんてことはなく、出入り口にはいつの間にか鍵がかかってる。


「いぃぃぃぃぃくよちゃあああああああん」


 そんな狂ったような声が鍾乳洞の壁に反響するように聞こえる。近づいて来てるのだとわかった。どこか……他の道は? 幾代はちょっと戻って分岐を探す。いくつかあったはずだと思ったのだ。すると二匹の猫が戻ってきてくれて誘導してくれるように前に出る。


「そっちだね」


 幾代は迷わずに二匹の後をおった。どんどんと下ってるような気がする。地上に戻るとなると上に行くような気がするが、幾代の感覚的には下ってた。そして開けた場所にでる。そこには地下水が溜まってた。それも、乳緑色の水だった。


「この水……」


 幾代はもしかして今まで飲んでたあの瓶の液体……その成分の一つにこの泉の水が使われてたのかも……と思った。だってそれだけ不思議な色をしてるから。そして幾代はその泉の中心になにかいるのに気づく。


「人?」


 そんな背中に見える。まるで司祭のような服を着てるのか、ダボッとした服に身を包んでる誰かが泉の中央に突き出た岩に鎮座してる。


「ニャ!」

「ニャ!」


 二匹に促されて幾代は泉の縁を走る。すると段々とその背を向けてた人の正面に近づいていく。そしてついに正面に立った時、幾代は「ひっ!?」――と声を漏らす。だって……だってその人は……足を組んで両手を合わせたまま『ミイラ』になってたのだ。


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