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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十四話Part5

「大丈夫か?」


 こくり……と彼女、幾代は首を動かす。朝食時はまだリラックスしてたように思うんだけど……そう思ってちょっと残念な彼だ。でもこうしてるのは違和感がある。集団登校の時間。でも……一緒に行くわけにはいかない。てか、あの村の者たちがどうやって登校してるのか彼はしらない。

 なにせ彼のチームとは集団登校の集団とは違うのだ。あの村の者たちはあの村の者たちだけでチームになってる。


「ありがとう」


 ポツリと幾代がいう。そして頭を下げた。彼女は学校とは違う方向に歩いていく。昨日の格好で、ランドセルも背負って、今から幾代は村に帰る。勿論彼は止めた。だってあの村に帰るなんて……と思ったからだ。実際言われてるような所なのかはわからない。

 けど、どこか……どこか幾代が帰りたくなさそうだと感じたからだ。だからしばらくここにいれば……家にいればいい……と思ってた。勿論両親は何もいってない。でも……案外何も言わないんじゃないか? とも彼は思ってた。


 なにせ昨夜、父はあの村の人達を追い返してた。ただの鬼親父と思ってたが、優しさだってあるのだと思った。でも……彼女は、幾代は帰るといった。丁寧に親に挨拶をしてた。本当はもっと話したかった。でも……小学生の朝は早いのだ。8時には学校につかないと。

 だからそんなに時間はなかった。そもそも、やっぱり幾代は彼と話そうとはしなかった。

でもそれも今ならわかる。


「何も言わなてくてもいい。俺の事嫌いになったのかだけ教えろ」


 そんなぶっきらぼうな言葉しかでなかった。坂道の分岐。彼は下に下り、幾代は村に帰るために上に行くことになる。そこで彼はきいた。すでに背を向けてた幾代。彼は彼女の小さな背と赤いランドセルをみる。

 歩いてた足が止まる。けど……幾代は振り替えらない。でも……確かに……幾代は首を振った。そして再び足を進める。彼は確かにみた。それだけでよかった。心が紅葉するのがわかる。

 でもそれが特別な感情なんて事は彼はわかんない。ただ高まったテンションで「またな!」――といって、集団登校に合流しようと走り出した。雨上がりの朝。その空気を思いっきり吸い込む。

 足はどんどんと早まる。ここ数日あった不安というか不満というか? 疑念? そんなのが晴れたように……今の空と同じように澄み渡ってる。


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