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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十四話Part3

 ピーピチピチ――ピーピチピチ


 そんな鳥のさえずりがどこかから聞こえてた。深く大きく広がって、空を覆ってた厚い雲。それはすっきりしたように朝方には遠くにいってた。水たまりを反射する日の光。草木の恵みの雨を受けて、青々しい木々たちが気持ちよさそうにしてる。


 静かな朝方の空気をすって、古い日本家屋の家の一角で幾代は目を覚ます。かすれてる視界。瞬きを数回すると、視界が合掌するようにして視点が鮮明になっていく。そして思う。


(ここは?)


 知らない天井だった。頭を横に動かしても知らない家具しかない。でも幾代は何も反応しなかった。どこかわからないという事は、彼女は最悪誘拐とか……そんな事だって考えられるはずだ。幾代の歳でそこまで考えられるのかは分からないが、彼女は聡明だ。きっと考えれる筈。けど彼女は何もしない。状況を把握しようとも、逃げようともしない。


 とりあえず自分の状況だけは確認しようと、まずは頭に手を置く。自分ではよくわからないが、昨日のような頭がガンガンとするような事はなくなってる。それだけでとても安心できた。そんな風に思ってると、シャ――と襖があいた。

 すると幾代と彼の目があった。


「……」

「……」


 数秒の沈黙。きっと彼も幾代がもう目を覚ましてるとは思ってなかったのかもしれない。だってなにせ、彼はパンツ一丁である。白いブリーフ一つだっだ。


「ぬあああああああああああああ!?」


 そんな叫びと共に、変な格好をする彼。片足を上げて、体をひねって、何とか幾代から見える体の面積を少なくしようとしてるのだろう。でもそもそもが女の子がいる場所に、そんな恰好で行くことが間違いだろう。

 自分の家だからと油断してたのか? まだ起きてはないだろう……と思ってた? どっちだとしても自業自得だろう。とりあえずパンツ一丁なのはまずいと思ったのか、走ってその場を離れる彼。そしてハアハアと息を切らしながらもう一度現れた。

 その時はみすぼらしいシャツとズボンをはいてた。


「お、起きたんじゃな」

「はい。ここは……君の……」


 幾代は上半身だけ起こして彼を見る。ごく……その姿に思わず彼は喉を鳴らした。それはいつもの幾代と違ったからだ。いつもきっちりとしてる幾代。でも今はどこかズボラな感じになってる。髪もとかしてないし、格好だって薄着だ。首筋の開いた胸元。


 いつものピリピリとした空気が今はない。それが一番大きいのかもしれない。よくわからないが、彼は胸がどきどきしてた。


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