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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十話part8

 結婚式はそれぞれ親族やら友人、会社の人達……そんなくくりで席が決まってたりするものだと思う。だからどこら辺が騒ぎの中心なのか、主催である小頭はすぐに気づいた。実際それまでの準備の記憶なんてのは勿論だけどない。

 けどなぜか小頭にはそこが親族席なのはわかった。白い煙が立ち込めて、ざわざわとしてる会場。そんな中、拡散してく白い煙の中から現れたのはその角を長く輝かせてる鬼……鬼男だった。

 そしてそれを見定めた瞬間から小頭はわかった。


(ああ、助けに来てくれたんだ)


 屈強なその姿。素晴らしい筋肉美をしてると小頭は思う。でも、それはこの結婚式には似つかわしくない。当然だろう。だって彼は上半身裸だし。上半身裸で結婚式に参加する奴はいないだろう。皆さんきっちりとした服装をして参加するのが礼儀というもの。

 でもそんなマナーなんてしらないとばかりに鬼男は上半身裸だ。実際、鬼男はそんなマナー知らない可能性あるしね。なにせこの世界とは鬼男は関係ないわけで……小頭は彼の視線に射貫かれて拳を握った。


 周囲の皆さんは鬼男をまだ足軽だと認識してるのか、そういう風に声をかけてる。でも、鬼男はそれに聞く耳を持たない。ただ輝く角を見せつけて更に小頭を見てる。それだけで小頭の手は汗ばんでしまう。


 すると背中越しに彼が……アランが言ってくれる。


「大丈夫だ。お兄さんにも認めてもらうさ」


 実際本当にあれが野々野足軽なら、アランの方が体格もいいし、強そうではある。でも……あれは足軽ではなく鬼男なのだ。アランも外国人なだけあって体格良い。でも鬼男にはかなわない。

 そもそもが鬼と、人……


「帰るぞ」


 そう静かに言う鬼男。ざわざわしてる会場なのに、やけにその声はよく通った。行かなきゃいけない……それは小頭にもわかってる。だってこれは……現実じゃない。いうなれば夢だと小頭もわかってるんだ。でも……


「邪魔しないで。ここでなら、私は好きな人と一緒に成れるの!」


 そういった。鬼男は小頭の前に立つアランを見る。そして察したんだろう。一度目を伏せる。でも……彼は目を開けて左腕を横に振るった。するとバキイイイイン――とどこにもぶつかってないのにそんな音がして、空間が割れた。


 それで鬼男が何をしようとしてるのか小頭にはわかった。彼はこの夢を壊そうしてる。


「やめて……壊さないで……」


 でも鬼男の角は更に強く輝きバチバチと周囲に鳴ってる。そして今度は右腕で空間を……


「やめてええええええええええええええええ!!」


 その小頭の絶叫は空しくそこに響いてた。

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