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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
67/821

66P

『今日も彼女は美しい。まるで春の日差しのように優しく降り注ぐ木漏れ日のように優しい暖かさをもたらしてくれて、香る香りは心身の底から幸福を掻き立てるような……そんな匂いが素敵です。


 貴方の声が天上の旋律を奏でるたびに僕の耳目が幸せに咽び泣く。君は罪深い。こんなにも僕を掻き乱す。そんな君を許そう。全ての世界に代わって。君が勝者だ』


 そんな手紙を桶狭間忠国は平賀式部の下駄箱に投入した。朝早く。それこそ五時くらいに学校に来てた。でもそれは別段、桶狭間忠国にとっては特別なことではない。毎日の朝のルーティーン、その途中にちょっと学校に寄っただけだ。もちろん、その時間では校門も閉まってる。だから校門はよじ登って、玄関も閉まってたから、修行の時に培ったピッキングを使って侵入。


 そして平賀式部の下駄箱にそんな手紙をそっと置いて立ち去った。その時の桶狭間忠国はドキドキしてた。山で野犬に襲われた時もドキドキしたものだが、それ以上に桶狭間忠国はドキドキしてた。異常なほどの心拍数の高騰。それから家まで、ダッシュで帰ったことは言うまでもない。そして再び登校して、いつも通りに過ごしてる。誰よりも早く学校に来て、軽く掃除をして、そして図書室から借りた本を積み上げて、読み耽る。それが桶狭間忠国の学校での過ごし方。


 でも今日はいつもとは違う行動をとった。それは本を閉じ、椅子から立ちあがり、扉の方へ……その一連の動きで教室の空気が固まってた。なぜならいつもは存在感を消してる桶狭間忠国だが、その体の大きさはクラス一であり,立ち上がるといやでも目立つからだ。


 それにそのパンパンの制服も、その下にある筋肉を主張してて、実はクラスの人たちにちょっと恐れられてた。そんな桶狭間忠国の普段取らない行動……それにクラスの空気はピタッと止まってた。


 だがそんな空気には桶狭間忠国は気づかない。扉の前にいた生徒にいう。


「ちょっと退いてくれますか?」


「ん? えっ……とすいません!!」


 そう言って扉の前でだべってた生徒が綺麗なお辞儀をして退いてくれる。クラスメイトなのになぜにそこまで礼を尽くされるのか、桶狭間忠国はちょっと不思議に思ったが、それだけだ。そうして、隣のクラスを廊下越しに覗く。別に覗く態勢を取らなくても問題なく中は見える。だが平賀式部は廊下とは反対側の席。


 似合ってる……と桶狭間忠国は思った。日差しが彼女に振りそそい出るように見えるからだ。廊下を横断するそのわずかな時間だけが桶狭間忠国が平賀式部と触れ合える時間だった。


 触れ合ってなんかないが、桶狭間忠国はそう思ってた。

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― 新着の感想 ―
[一言] いやさ、ろくに面識のない人がそうしても気持ち悪いだけだよ… 僕だってほぼ初対面の人から「好きです」なんて言われたら めちゃくちゃ気分悪くなる。女の人なら尚更だよ。
[一言] 痛多々多々
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