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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
66/822

65P

世界には魔法なんてない。それに彼が気付いたのが、小学生の時だった。彼『桶狭間 忠国 (おけはざま ただくに)』はいろんな漫画を読んで、その技を真似して遊ぶような子供だった。そしてそれに飽き足らずに、彼は体を鍛えて、心を鍛えるために修行に明け暮れてる……そんな子供だったわけだが……今はそんなことはしてない。


 彼は世界に絶望していた。純粋に魔法や謎の力に憧れて、いつか自分もそんな力に目覚めて巨悪と戦ったり、世界を救ったり……そんな事ができると本気で信じてた。けどそんな事を言ってると笑われた。


 もちろんそんな奴らを対照的に笑ってた桶狭間忠国だったわけだ。あいつらは間違ってて自分が正しいと信じてた。いつかその力や魔法を見つけてしまえば、自分こそが正しいと証明できる。


 でも、いくら頑張っても体を鍛えても、精神を鍛えても、そして生死の境を彷徨っても何も得ることはできなかったのだ。彼、桶狭間忠国は一回修行に明け暮れ過ぎて生死の境を彷徨った。精神を鍛えるために山に単独で入り、遭難したのだ。


 その時、一ヶ月山をさまよってなんとか救助されたという経験がある。その時、彼は極度の飢餓状態で、かなり衰弱してたらしい。


 そしてそれから彼は人が変わったように、そういう事をしなくなったという。体は鍛えてるが、厚いレンズが入ったメガネをして教室ではいつも静かに机に座ってる……そんな高校生になってた。


 何にも興味を示さない……そんなやつに桶狭間忠国はなっていたんだ。


「はあ」


 騒々しい教室でそんなため息を桶狭間忠国ははいた。彼は思っている。この世界の何がそんなに楽しいのか……と。彼は高校生で既にこの世界に絶望してた。でも死ぬなんてことはつまらないし、家族のこともある。自分が死んだら、家族が悲しむことくらいはわかる。


 だからちゃんと生きないといけないが、この世界には楽しみがないと思ってた。彼はこの歳でスマホとかも持ってなくて、今やスマホを誰でも持ってる時代となってる今、彼は普通に孤立してた。


 それにおとなしい癖にやたらガタイはいい。めっちゃ鍛えてた弊害である。彼は190はある長身で服もパンパンだった。そのせいで謎の迫力があった。いや謎でもなんでもない迫力だけど……ただ鍛えてきた筋肉が桶狭間忠国を周囲から孤立させてた。


 それでも気さくな性格なら楽しくやれたかもしれない。表立って190もある筋肉男に変なちょっかいを出してくるようなやつは普通ならいない。だからこのクラスでボッチになってるのは彼がそれを選択したから。


(もうこの教科書も読み飽きたな)


 今の桶狭間忠国は体を鍛えるよりも知識を吸収することに専念してる。確かに彼は世界に絶望してる。不思議な力なんてのはない。でもだからこそ、たくさんの知識を求めてると言っていい。不思議な力がないのなら、科学でそういう力を作ればいいじゃない−−と考えてるからだ。


 だからこそ、彼は目が悪くなるまで本を読み込んで、勉強も頑張ってる。そしてそれは体を鍛えてた時と同じように愚直だ。周囲を一切鑑みない愚直さ。それは彼に学友なんてものを忘れさせてる。学校はただ知識を吸収する場所……それだけだ。


 でもそんな彼桶狭間忠国に春が訪れた。


「あっ、ごめんなさい」


「っ!? ……いえ……こちらこそ。大きくてごめん」


 廊下の角でそんなやりとりをした。相手はこの学校で三大美女に数えられるほどの美少女だ。その名も『平賀式部』何気ないやりとりだったが、女性に耐性がなかった桶狭間忠国が恋心を抱くには彼女は美し過ぎた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 忠国が恋心を抱くには彼女は美し過ぎた。 だと、美しすぎたので恋心を抱けなかった、という意味になります。
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