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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第三十四話part3

 子供のような妖怪。それが待ち構えてて、飛んで火にいる夏の虫の如くやってきた小頭は捕まった。そして今、小頭はそんな子供妖怪にまさにオモチャのように投げ捨てられた。

 地面に迫る小頭。そのそもそもが学校の屋上よりも高い所にいた小頭だ。そんな所から勢いをつけて投げらたわけで、それは完全に死への直行コースだ。育代は悲鳴を上げてるが、あまりのいきなりの事に小頭は悲鳴さえもあげることができない。

 このまま死ぬのかな? とぼんやりと思ってた。けど迫る地面を見てしまうと、突如湧いてくる恐怖。じわっと小頭の目に涙がたまる。それは自然と恐怖がせりあがってきた証拠だろう。でももう声を出す時間もなかった。恐怖を叫ぶこともできずに逝く……ぞれを覚悟したときだった。


「ふん!!」


 がっしりと何かに掴まれる感覚。いや、抱きしめられる感覚かもしれない。がっしりとして岩のような体。この暑さを受け続けて、更に熱くなってるその体。けど暑さを感じるというのは生きてるということだろう。

 それに今までずっと動いてたからか、ちょっと……うん、それなりに汗臭いと小頭は胸の中で思ってしまう。でも不快ではなかった。むしろちょっとだけ……


「大丈夫か?」


 ――トゥンク、しちゃうかもしれない。ときめく胸をギュッと抑える小頭。


(違う!? これは違うから!? 吊り橋現象って奴よ!?)


 そんな事を考えて鬼男から顔を逸らす小頭。すると今度はポンポンと頭を撫でて来た。大きな鬼男の手は不安な気持ちを一緒に落としていくような……そんな気さえしてしまう小頭。


「任せろ、もう大丈夫だ」


 そういって地面に小頭を下ろす鬼男。そしてその背中を見せつつ前にでる。頼もしい背中。今までに感じたことがない『男性』の強さって奴、頼もしさを小頭は感じてた。


『くけ、くけけけけけ! 遊んでくれる? 遊んでくーれる!?』


 そういってその腕を不気味にしならせて上から叩きつける子供妖怪。でもそれを余裕をもって鬼男は下からアッパーのように拳を突き出して弾き飛ばす。けどそれが楽しかったのか、次々とそのグネグネの腕を鞭のようにしならせて鬼男へと向ける。


(なんで……いや、そっか……私の性で……)


 鬼男は攻めに出ない。なぜかとおもった小頭だけど、それが自分の性だと気づいてしまった。だって今鬼男が移動したら、再び小頭が妖怪に捕まってしまうかもしれない。だから鬼男は小頭を守るためにも一歩も動かずにひたすらに子供妖怪の攻撃を防ぐしかなくなってる。

 絶え間ない攻撃にも鬼男は引くことも、膝を折ることもしない。絶対に背後にいる小頭へと攻撃を通さない……その覚悟が伝わる。でも傷は増えていくわけで、それを見るたびに小頭の罪悪感は強くなっていく。


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